ハイドラの手紙…
イリスは3日3晩泣き続けていた。
ハイドラがもう目覚めないとディランに聞いた事で…
救いたいと思った…共に歩みたいと思った…
けれど魂が破壊されてはどうしようも無かった…
ハイドラが持っていた剣…神剣『咎』は罪の重さによって判決を下す神の剣…
剣が認めた者にしか使う事が出来ない神の代行…裁定者の剣…
罪が軽い者には激痛を…
罪が重くなるにつれて、相手の天恵を無効にする。
最終的には消滅だが、その手前は魂を破壊する。体は生きたまま、魂を砕かれる。
つまりは目覚めることのない『眠り』に就く。
ハイドラは魂を破壊された。つまりは魂が彼には無い。
二度と目覚めない状態なのだった…
ディランたちは現在魔王の城にいた。現在はあの場にいたものは皆イリスの考えに賛同している。
つまりはあとはレディオン王を説得すれば平和な世界が訪れる状態だった。
その王と今回の戦争の賠償や互いの国への不可侵などの話し合いを行うために、作戦を話し合っていた。
王の子供のディランが味方でも王は容赦せずにこちらが不利な条件を提示してくるとわかっていたからだ。
この話し合いでは魔王であるイリスが必須。だが彼女は全てを諦めたように自室にこもっていた。
「魔王イリスは…今日もこちらには…」
ディランは深刻な顔をしていた。
「申し訳ない…」
グリフィスは申し訳なさそうに謝る。
「平和なのに…何でこんなに悲しいんだろうな…」
ゴリアテも両腕を組み、壁にもたれ掛かって悲しそうにしている。
「消滅は免れても…二度と目覚めることが無いようではな…」
「俺たちだけじゃ…ダメなのか?」
グリフィスはディランに聴く。
「レディオン王は魔王の弟だと、より不利な条件を提示するだろう…
それを防ぐために…現魔王がその場にいなければならないのだ…」
ディランは申し訳なさそうに言う。
「姉上には…気持ちが落ち着いたら渡すつもりだったけど…手紙を渡すしかないのか…」
グリフィスは服のポケットから手紙を取り出す。
彼の腕が動かなくなった際に、遺言書代わりとして受け取った物だ…
「お願いできるか?酷かも知れないが、平和の為に…仕方ないんだ…」
ディランたちはグリフィスに手紙を渡すようにグリフィスに頼んだ。
そうしてグリフィスはイリスの元にハイドラの手紙を渡しにいった。