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つまり、俺が彼女の夫でして  作者: 森都 めい
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エピローグ


コンヴィスカント子爵邸

ある日の午後



「リルマーヤから手紙が届いたんだろう?

さあ、読んでおくれ。」



貴族を辞して平民に下った私たちの娘、リルマーヤは、私たちを心配させまいという心遣いからか、月に一度手紙を送ってくれるようになった。

先ほど侍女から、リルマーヤから届いた手紙を妻のアリアローナに渡したと聞いたので、仕事の合間の休憩に妻の元へ向かった。

最近のリルマーヤの手紙の内容はほとんどがコーリヒト君の話で、男親の私としては少々つまらないのだが、手紙が届いたと聞けば、やはり気になる。


「まぁ、お耳が早いこと。

私も先ほど手にしたところですよ。」

ローナはそう言いながら手紙の封を開けた。



   季節も移ろい冬支度をする頃となりました。

   コンヴィスカント家の皆様はお変わりなくお過ごしでしょうか。

   こちらは、私もコーリヒト様も元気に過ごしております。

   フィアンティの町はアグラン市より少し暖かいような気もします。・・・



そんな風に始まった手紙には、リルマーヤが初めてパンを焼いてコーリヒト君に食べてもらったら美味しいと言ってくれたはいいが、自分の分まで食べてしまい怒ったこと、コーリヒト君に作って欲しいと以前からお願いしていた踏み台が完成したが、素晴らしい出来栄えだったこと、馬を一頭借りて二人でそれぞれ乗馬して一緒に遠乗りをしたことが楽しそうに書いてあった。


・・・やはりコーリヒト君の話しかなかった。


「最近のリルマーヤの手紙は、コーリヒト君の話題しかないな。」

「いいではないですか、二人の仲が良くて!

この文面からも、二人の楽しそうな顔が想像できるもの。」

「まぁ、そうではあるが・・・。」


父親としては複雑な気分である。



先日私宛に届いた、リルマーヤの前の婚約者、ヒューイテッド・スノアール氏からの手紙のことを思い出した。

偶然にリルマーヤに会ったこと、当時は何もできなかったことへの詫び、そして今は元気にしているリルマーヤを知ることができ本当に良かったと書いてあった。


「スノアール伯爵の次男のヒューイテッド氏の手紙のことを先日伝えただろう。」

「ええ、本当にそんな偶然があるのかと思いましたわ。」

「リルマーヤが病になって目を覚まさないとわかった時は、とりあえず婚約の解消をと思って申し出たが、あれは早すぎた決断だったのだろうか。」


あの時、もう少し待っていればリルマーヤも目を覚まし、婚約の解消をしなくても済んだのではないのだろうかと思ったことがある。


「そうでしょうか。

スノアール伯爵はご夫婦共に、世間体を気にするお方。

リルマーヤとの婚約も伯爵はあまり乗り気ではなかったと聞きました。

それに病気は治っても、あの髪の色は隠せませんし・・・。

だから、早かれ遅かれ婚約は解消されたと思いますよ。」

「・・・そうだな、こちらから申し出てよかったんだよな。」


あの時、もし、婚約の解消をしなかったら・・・目を覚ましたリルマーヤは今も貴族だったのではないのか、という思いは今でも、心の隅でくすぶっている。

ヒューイテッド氏の手紙で、その時の気持ちがまた思い出されたが、伯爵とは縁がなかったということだな。


「平民に下ってしまいましたが、それよりも、リルマーヤを快く受け入れてくださったヴォルグ家の方が、リルマーヤにとっては余程いいと思いますわ。」


遠いところへ嫁いでしまった我が娘・・・遠いといっても私の領地内なのだが・・・どんな思いで暮らしているのだろう。



「なぁ、リルマーヤは幸せだろうか。」

「そうですわねぇ、本人に聞いてみないとわからないけれど。

ただ思うのは、リルマーヤが市井に行って、一人でやっていけるのかと言ったら、それはあまりできないと思うの。

ここの暮らしと全然違うもの。

もちろん、リルマーヤの努力も必要だけど、でも、コーリヒトさんがそれを受け入れ、支えてくれるから、リルマーヤは楽しくやっていくことができると思うわ。

今回もそうだけど、毎月送ってくれる手紙には、二人はちゃんと手を取り合っていると感じられるわ。」

「コーリヒト君の存在か・・・。

彼ならきっと、リルマーヤを大切に思ってくれると信じているよ。

ということは、コーリヒト君を選んだ、私の直感がよかったってことだな。」

「ほほほ、そういうことになるのかしら。」


ローナは嬉しそうに、もう一度リルマーヤからの手紙を読み返していた。


「おやまあ、手紙はもう一枚あったわ。 ごめんなさい。」

「なんて書いてあるんだ?」

「えーと、あら、年明けには二人でこちらに来たいとあるわ。

まぁ楽しみね。」

「私はリルマーヤだけでもいいんだが。」

「ほほほ、そんなこと言わないの!

あなたの目に適ったリルマーヤの旦那様でしょ。」

「まぁそうだな。 じゃあキースも一緒に三人で飲もうかな。」



私は『お父様!』と呼んで手を振る娘と、その傍らで見守る青年の、二人の笑顔を思い描いた。


『つまり、俺が彼女の夫でして』完結しました。

のんびり投稿にお付き合いくださり、ありがとうございました。

読んでいただいている方々がいると思うと、頑張れました。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。


番外編を少しですが不定期で投稿しています。

よければそちらもお読みください!

タイトルの上にあるシリーズ作品から移動できます。

よろしくお願いします。



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ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] コーリヒトはリルマーヤといれば一生退屈しなさそうです 番外編楽しみにしてます
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