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つまり、俺が彼女の夫でして  作者: 森都 めい
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34. トリスタン・ヴォルグ その2

前回のお話の続きです。

トリスタン視点になります。

お読みいただきありがとうございます。


コーリと一緒に、公衆浴場から家に戻って玄関を開けると、いい香りがした。



「おいしそうな匂いだな。 これは、夕ご飯は期待できそう。」

「ああ、家の中がおいしい匂いって幸せだよ。

マーヤとロッテがおいしい料理を作ってくれているから、ぜひ楽しみにしてください。」


コーリが料理を作っているわけでもないのに、やけに自慢げだ。

笑顔のコーリが幸せそうで、俺も嬉しくなる。



俺は、自分の荷物を片付け、馬の様子を見てからリビングに行った。

コーリはもう来ていて、料理を運ぶのを手伝っていた。

「兄様、もう運び終わるので、座っていてください。」


テーブルに行くと、おいしそうな料理が所狭しと乗っていた。

盛り付け方がすごい!

一つのお皿にいろいろな前菜が盛られている。

トマトやニンジンの赤、チーズやマカロニの白、葉物の緑。

鮮やかな色と盛り付けで、こんなにおいしそうに見えるとは初めて知った。

リルちゃん、すごいな! さすが貴族お抱え料理長直伝の料理だ。

お腹が一気に空いてきたぜ。


「お兄様、お待たせいたしました。

お席にどうぞ。 まずは白ワインからでいいですか?」

「ああ、ありがとう。 リルちゃんも飲めるの?」

「量は飲めませんけど、お酒は好きです!」

リルちゃんはそう言いながらワインを注いでくれた。


「では、改めて、トリス兄様、よくお越しくださいました。

乾杯!」


俺はグラスを掲げたが、前にいる二人はそれぞれのグラスを当てて、カチンと鳴らしていた。

「ほら、兄様もやりましょう。」

「へ? あ、うん。」

俺は言われるがままにグラスを前に出すと、二人は俺のグラスに当ててカチンと鳴らした。

乾杯ってこうするんだっけ?

よくわからないけど、二人が楽しそうだからまぁいいか。


白ワインを飲むと、空きっ腹に染み渡った。

く~、うまいな!


「俺も二人に会えてうれしいよ。」

「ふふふ、お兄様、料理を取りますね。」

リルちゃんは、手際よく料理を少しずつ取ってくれた。

「おお、それはロッテ特製のキッシュだな。」

「そうです! ロッテが、トリスタン様はこのキッシュが好きなんですよ、って言って楽しそうに作ってくれましたよ。」

「俺の好物を覚えてくれていたなんてうれしいなぁ。」


ロッテは他の料理は大雑把だが、キッシュだけはすごくおいしくて、この家に住んでいた頃、俺はよく作ってくれと頼んだ。


「リヒトも取ってあげるよ。 野菜も食べなくちゃだめよ~。」

「ぷっ、何それ~、俺、何でも食べるじゃん、野菜も好きだよ。」

「あれ?・・・そうだったわね。

ちょっと言ってみたいセリフじゃない? ごめん、ごめん。」

「どのあたりが言ってみたいのか、全然わからないんだけどっ!」

「ふふふ、はい、どうぞ。」


何、この二人。

めっちゃしゃべるじゃん。

俺もここにいるんだけど。

ちょっと忘れられてない?

でも、多分いつもの夕食も二人でこんな風に話しながら食べているんだろうな。


「リルちゃんは、もしかして世話を焼きたい方?」

「あ、わかっちゃいました?

どちらかというと、いろいろやってあげたくなっちゃう方です。

リヒトを見ていると、世話を焼きたい放題で・・・ふふふ。」

「え? 俺、今褒められてる?」

「うん、褒めてる褒めてる! コーリは可愛いなぁ。」


甘えん坊のコーリと世話焼き女房のリルちゃんで、いいペアじゃん。


「ねぇコーリ、すごーく気になっているんだけど、そのてんこ盛りになっている白いものは何?」

「え? あーこれですか?

これはポテトサラダっていう、芋料理です!

ほんとに、ホントにおいしいんだ。

兄様も食べたら、これぐらい欲しくなっちゃうよ。」

「お兄様も言ってください、さっき盛り付けをしていたらリヒトが来て『まだまだ盛って』って言うからよそっていたら、そんなになっちゃって!

お芋だからお腹がいっぱいになっちゃって、他の料理を食べられなくなるよ、って言ったのに。」

「お前、確かにそれは盛り過ぎだろ!」

「そーかな・・・? じゃあ、半分兄様にあげます。どうぞ。」


そう言ってコーリは俺の皿に、結局3分の1ぐらい分けてくれた。

そんなにおいしいのかな、と思いながら食べると・・・。


「! うまっ!」

「ほら、でしょ~! マーヤのポテトサラダはうまいんだって!」

「これは食べたくなるな! ちょっとコーリの気持ちがわかった。」

「この兄弟、味覚がおなじですね・・・。」

リルちゃんが呆れている。

でもうまいものはうまい!

これは、コーリが自慢するだけあるなぁ。


「そー言えば、兄様、今日は来る時間がいつもより少し遅かった気がしたけど。

寝坊しました?」

「え、違うよ。 寝坊はしとらん。

そうだ、プロセットさんのお店に寄ったんだ!」

「あ、もしかして例の看板ですか、お兄様も見ました?」

「うん、町を散策していたら、あの看板、見ちゃったよ。」

「俺も見ました。 名前を使ってもいいよって言ったけど、あれはちょっと恥ずかしくて、もう店の前を通れないよ。」

「で、気になったからお店に入ってプロセットさんに聞いたら最後!

きっかけから商品説明、宣伝を延々と聞かされて、ここに来るのが遅くなったというわけだ。

それでだ! その素晴らしいリングとやらを見せてくれよ!」


久しぶりに会えた嬉しさで、コーリのリングのことを忘れていた。

プロセットさんがあんなに絶賛するぐらいだから、見てみたかったんだ。


「ほら、リヒト、左手を出して。

記者会見のようにするのよ!」

「マーヤ、その“きしゃかいけん”ってなんだよ~、俺、知らないよ。」

「ははは、リルちゃん、俺も“きしゃかいけん”は知らないぞ。」



俺たちは酔っていた。

何でもないことでも笑えてしまう・・・。



「ほら、こうやって二人でリングをお兄様に見せるの。

そして笑顔よ、リヒト、せーの!」

「ははは、やめてくれ、コーリのその顔、リルちゃんは可愛いのにコーリの笑顔は、ヤバい!ヤバ過ぎ!」

「そんな、急に笑顔と言われてもできないよ~。」

「リヒト、じゃあちゃんと練習しておいてよ!」

「えー、また練習?」


コーリは、いやいやながらもなぜか笑顔の練習をし始めた。


「あはははは、コーリ、やめろ、腹いてぇ!

おまえ、リルちゃんのことは素直に聞くんだな。」

ひきつった笑顔はヤバいが、言うことを聞いているコーリはめちゃ可愛い。


「兄様、ここだけの話、マーヤはこう見えて結構恐いんですよ。」

「へぇ~って、コーリ、それ今言っちゃあいけないヤツだろ!」

「え・・・あーーっ! 違うんだ!マーヤ、違うんだよ!」


リルちゃんを見ると、目が座っていた・・・。

きゃー、やっぱりリルちゃん、恐いかも!


「リヒト・・・、そんなこと思っていたのね。

それなら私も言っちゃうからっ!

お兄様、聞いてくださいっ! リヒト、超奥手で・・・「わーわー、マーヤ、何を言い出すんだよ~!」

「何をってお兄様に相談よっ!」


コーリはあたふたと、リルちゃんをなだめている。

この二人、面白いなぁ。

あーあ、結局コーリはもうリルちゃんに頭、上がらないんじゃん。



そのあと、落ち着いた二人からちゃんとリングを見せてもらった。

うん、確かに俺も見たことのないデザインだ。

二人で同じものを身に付けてるっていうところもいい感じ!

そう思わせるリングだった。



そのうちに、リルちゃんが突然『私、寝ます!』と宣言してリタイア。


男二人でお酒をお供に夜更かしをした。




◇◆◇




そして次の日の朝。



俺たち兄弟はそろって、弟の嫁に怒られていた・・・。


「まったく! こんなにお酒を飲むなんて信じられない!

リヒト、残念ね、残ったお酒は今月のリヒトのお酒だったのに、もうないわっ。」

「えー、そんな・・・。」

「でも、一日で飲んじゃうか、今月少しずつ飲むかの違いで、結局はリヒトのお腹に入るんだから、ものは考えようだわね。」

「くくっ、コーリ、我慢したまえ。」

「他人事だと思って兄様まで・・・。」

「お兄様も、もうちょっと気が付いてくれればよかったのに。」

「・・・ごめんなさい・・・。」

「でも、何が一番納得いかないって、こんなにお酒を飲んだのに全く普通なこの兄弟よねっ。

ほんと、お酒強すぎ~!」


リルちゃんは怒りながらも、朝ごはんに野菜スープを出してくれた。

スープの温かさと野菜の甘さが、酒浸りの体を癒す・・・。



コーリにはもったいないお嫁さんだよ。

さて、親父殿にはなんて報告しようかな。


コーリ達二人は大丈夫です、と伝えようか、それとも、ご自分の目で確かめてみては、と伝えるか。



そんなことを思いながら笑い合う二人を眺めていた。



読んでくださり、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 二人がいると周りも笑顔になる これからどうなっていくか楽しみです
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