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つまり、俺が彼女の夫でして  作者: 森都 めい
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23. 契約の魔石のアクセサリー その2

前回の後編になります。


プロセットさんとの会話が弾んだところで、従業員の女性がお茶を持ってきてくれた。

「お時間はありますか?

デザインについての詳しいお話を聞いていきたいのですが。」


とりあえず、お茶を頂いて、一息つく。

この店長さん、話を始めたら止まりそうにない感じだし。

マーヤの方をちらりと見ると、美味しいお茶だね、って言われた。

さすがお嬢様、緊張もせず商談には慣れていそうだよ。

俺は話についていくのがやっとだぜ。



「まずは、この部分についてですが。」

「はい、魔石と他の金属の二層で、手の甲になる方は少し厚めで、だんだん二層が混じって細くなって、という感じですが。」

「なるほど。 ここは、上側が魔石、下側が金属の二層ですね。

金属は何かご希望がありますか?」

「色は銀色と思っているのですが、シルバーだと手入れが大変でしょう。

それに代わるものってありますか?」


「シルバーって手入れが大変なの?」

俺はわからず、質問した。

「そうなの。 使っていると黒ずんでくるのよ。

拭けば取れるけど、それでも取れない黒ずみがだんだん馴染んできて、それはそれで味わい深いんだけど、このリングには向かないと思うのよね。」

「そうですな。

黒ずみもシルバーの良さではありますが、契約魔石のリングにはその黒ずみはない方が私もいいと思いますよ。」


そうなのか。

マーヤっていろいろ知っているんだな。


「銀色でその輝きが損なわれないものですか・・・。」

プロセットさんは、経験と知識を総動員して考えているようだ。

顔がすごいしかめっ面になってるよ。


「あ、そういえば、少し前に発見された鉱物がありまして。

それが銀色で、扱いやすいものらしいと・・・。」

例の手帳を開き、プロセットさんはページを探し始めた。


「あー、これです、プラチナと名づけられましたな。」

「え、プラチナ?」

「え、マーヤ、どうしたの?」

「おや、奥様はこの名前をご存じでしたか?」

「いえ、あの・・・いえ、知りませんが、高そうな名前ですね、おほほ。」

「確かに高そうな印象を受けますな。」


プロセットさんは、わかる範囲でその鉱物の説明をしてくれた。

他の鉱物に比べれば、発見されてから新しいものになるので、値段もまだ上がっていないそうだ。


「私の考えとしては、このプラチナは、これから価値が上がってくると思われます。

今はまだ値段が上がっていないので、ぜひお勧めいたします。」

これから価値が上がっていくようならいいと思うけど。


「俺は店長がお勧めするものならいいと思うけど、マーヤはどうしたい?」

「ええ、私もプラチナがいいと思うわ。」

「じゃあ決まりだな。 それでお願いします。」

「かしこまりました。 では、指のサイズを測りましょう。

どの指に嵌めますか?」


「え?」

「え?! マーヤ決めてないの?」


マーヤはびっくりした顔をして店長を見たが、プロセットさんは、答えを待っているようでニコニコしていた。

マーヤは次に俺の顔を見たが、俺に聞かないでくれ!

俺はプルプルと顔を横に振った。


「じゃあ、私が決めちゃっていいのかしら?」

俺はこくこくと顔を縦に振った。

「ああ、マーヤの思うとおりにしていいよ。」


「では、左手の薬指で。」


即答かい! 決めてあったんじゃあないか!


「リングを嵌める指は特に決まっていないのね?」

マーヤは、プロセットさんが指のサイズ表を探しているときに、こっそりと俺に聞いてきた。

「ああ、多分。

店長も聞いてきたということは、決まっていないと思うよ。」


アクセサリーについて本当に全くわからない俺は、ハッキリと言うことができないけど、プロセットさんもどの指にするのか聞いてきたくらいだから、決まってはいないんだろう。

「そうなのね・・・。」

マーヤは、ちょっと考え込んでいるようだった。


シルバーの特性について詳しかったから、アクセサリーについていろいろ知っているのかと思えば、リングの指のことは疑問に思ったり、マーヤってちょっと不思議。


指のサイズを測ってもらったところでプロセットさんが聞いてきた。

「左の薬指というのは、何か理由がお有りですか?」

「そうですね、確か、その指に流れる血の管が、心の臓と繋がっている大切な指なので、結婚指輪・・・魔石のリングもその指に嵌めるということを(ネットで)見た気がします。」


「ほう、そんなことを書かれた書物があるのですか!

奥様は博識ですな。 町長殿も負けてはいられませんぞ。」

おお、こっちに飛び火してきたよ。

「はは、精進いたします。」

やっぱりマーヤはいろいろ知っているんだな。

これが貴族の知識ってものなんだろうか。


「あのー、ちょっとお伺いいたしますが、リングの内側に文字って書けますか?」

「え? 文字ですか?

それはー、少し大きめのペンダントトップなら可能だと思いますが、このリングでは無理ですね。

ちなみに、なんと書きたいのですか?」

「私からあなたへ、というようなことを名前の頭文字を使って書いて欲しかったのですが。」

「なるほど~。 そういう願いを込めるのですね。

参考になります。」


プロセットさんは、手帳にまた何かを書き足した。

あの手帳には、予定だけでなくアイデアとか、すごい量の情報が書かれているんだろうな。

でも、さっきから書いているのは、マーヤのアイデアだぞ!


「では、これから作業の手配をさせていただきます。

今回は新しい鉱物を使用することもあり、ちょっとお時間を頂きたいのですが。」

「どのくらいでできますか?」

「そうですね、三週間ほど頂きたいですがよろしいですか?」

「わかりました。 では、またそのころ伺いますよ。」

「ありがとうございます。

誠心誠意、職人の技を極限にまで生かして作らさせていただきます。

楽しみにお待ちくださいませ。」

おお、嬉しいけど、そんなに大事にならなくてもいいかも。


「では、よろしくお願いします。」

「楽しみに待っておりますわ。」

俺たちは魔石を店長に託し、お店を後にした。




そのあとは、エヴァンの店に行き、シチューを堪能した。

マーヤも、ほっぺが落ちそうだとシチューが気に入ったようだ。

それから市場へ行って、あれこれと見て、卵を買って家路についた。




俺の長い休暇が終わった。


え? 明日から仕事?

・・・今は考えるのはやめておこう。



読んでくださり、ありがとうございます。

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