表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
つまり、俺が彼女の夫でして  作者: 森都 めい
24/46

22. 契約の魔石のアクセサリー その1

お話が長くなってしまったので、2話に分けました。

前編です。


俺たちは、川沿いの道から横に折れ、店が連なる道に出た。


「確か、このあたりでよかったはずだが・・・。」


俺は目的の店を探した。

あー、あった、石加工の店のプロセットの店だ。

今日、マーヤと一緒に町に来た一番の目的は、もちろん卵を買うためではない。

契約の魔石でアクセサリーを作ってもらうために来たのだが、アクセサリーについては、昨日の帰りの馬車の中でマーヤと話をしていた。



◇◆◇



「あの、契約の魔石のことなんだけど・・・。」

「はい、リヒト様は何か希望がありますか?」

「いや、アクセサリーについては、全くと言っていいほどわからないから、俺としてはお任せしたいんだけど・・・。

でも、作ってもらうお店は、町にいい職人がいるところがあるから、そこにしようかと思っているんだ。」

「わかりました。 じゃあ、そのお店にお願いしましょう。」

「え、俺が考えているお店でいいの?」

「はい、リヒト様がおすすめするお店なら大丈夫でしょ?

アクセサリーは、私が思っているものがあるので、できればそれでお願いしたいんですがいいですか?」

「ああ、こちらこそお願いしたいよ。 やっぱりペンダントかな。」


契約の魔石のアクセサリーは、ほとんどの人がペンダントを作る。

ペンダントの形もいろいろできるし、邪魔にならないし。


「いえ、あの・・・、良ければ私はリングがいいのですが、いかがですか?」

「リングか・・・マーヤがそうしたければいいよ。」

「その・・・、リングだと人目に付きますけど、ちゃんと嵌めてくれますか?」

あ、そうか、リングだと指に嵌めるから常に見えちゃうのか。

でも・・・。


「マーヤも嵌めるんだろ?」

「もちろんです。」

「マーヤもするんなら、俺もするよ。」

「ほんとですか? ほんとですね!

よかった~、ありがとうございます。

では、リングを作るということでいいですね。

じゃあ、こんな感じでって描いてみたんですが、見てもらえますか?」


マーヤは嬉しそうに、バッグの中から一枚の紙を出した。

渡された紙を広げてみると、そこにはリングのデザイン画が描かれていた。


「へえ~、すごいな、これ、マーヤが考えたのか?」

「いえ、あの、えーと、親戚のお姉さんがこんな感じのリングをしていて、とても気に入ってしまったので、思い出しながら自分なりに描いてみたんですけど。」

「かなりシンプルな感じにみえるけど、いいの?」

「ずっと嵌めているものなので、装飾品は無しで。

つけていても飽きのこないデザインだけど、でもちょっと個性を出して、と考えたんですけど。」

マーヤはリングについていろいろと詳しい説明をしてくれた。


「そうだね。 これなら嵌めていても気にならなさそう。

これがいいよ。

マーヤにお任せしちゃってもいいかな?」

「はい、お任せください!」



◇◆◇



「着いたよ、このお店だよ。」

俺はドアを開けて、マーヤを店の中に促し、そして俺も中に入った。


「こんにちは。」

「これは、これは、町長殿、いらっしゃいませ。」


出迎えてくれたのは、店長のプロセットさんだ。

細身でカチッとしたスーツを着こなしている。

整えた髭が、いかにもアクセサリーの店長らしい雰囲気を出している。


「今日はお願いしたいことがあって来たんだが。」

「私にできることなら、何なりと。

そういえば、風の噂でご結婚されたと聞きましたよ。」

プロセットさんは、そう言ってマーヤの方をちらりと見た。

情報が早いですね!


「ああ、先日婚姻の儀をしてきたところだよ。

つ、妻のリルマーヤだ。」

マーヤは帽子を取って挨拶をした。

「ほう、これは美しい奥様ですね。

ヴォルグ様もお喜びでしょう。」


マーヤは、さっきの川沿いではしゃいでいた様子とは打って変わって、お嬢様モードで品のある挨拶をした。

うん、俺も見とれちゃうよ。


「では、今日のお願いというのは、契約の魔石の件でしょうか?」

「ああ、そうだ。 アクセサリーをお願いしたいんだが。」

「当店をお選びいただきありがとうございます。

では、奥でお話をお伺いいたしますので、こちらへどうぞ。」


プロセットさんは、お店の奥にある応接室に案内してくれた。

以前に親父殿と来た時もこの応接室で話をしたんだけど、ソファーがフカフカでちょっと特別感を味わえるんだよな。


「こちらにお座りください。

少し席を外します、少々お待ちください。」

プロセットさんは、俺たちに席を進めてくれた後、一旦応接室から出て行った。

二人でソファーに座ると、ぼふっと沈んだ。


「ふふふ、すごいソファーだわ。 身動きとれなさそう。」

「うん、でもフカフカで気持ちいいよな。」

「そうね。

・・・ねえ、リヒトって私を紹介するとき、いっつも嚙むよね。」

「えー、そうだったかな~。」


やばい、気づかれている。


「そうだよぅ。 妻って言う時、必ず噛むんだから。」

「そのー、いまだに慣れなくてさぁ。

まだちょっと恥ずかしいかな。ははは。」

俺は笑ってごまかした。

「じゃあ、ちゃんと練習しておいてね。」

「はあ、わかりましたよ。

えーと、つま、つまが、つまり、つまる、つまで、つまと・・・」

「あはは、何か、違う方向に行ってるよ、リヒトってば!」


「“つま”がどうかいたしましたか?

お待たせいたしました。」

そこにプロセットさんが冊子を持って現れた。

やばい、やばい! “妻”と紹介するのを練習していたなんて聞かれたくないよ。


「お気になさらず! 大丈夫です!」

「仲が良くてよろしいですな。ほっほっ。

では、早速ですが、契約された魔石はお持ちですか。」

向かえ側のソファーに座ったプロセットさんは、話を始めた。

「はい、持ってきました。 これですけど。」

俺は上着のポケットから赤い高級そうなケースを取り出して、プロセットさんに渡した。


「ありがとうございます。 拝見させていただきます。

ほう、これはきれいな緑色の魔石ですな。

緑色の意味は聞かれましたか?」

「ええ、神殿長から緑色は“希望”という意味が込められていると伺いました。

何種類くらいの色があるのですか?

私の両親の魔石は青色でした。」

マーヤはやっぱり魔石のアクセサリーに興味があるみたいだ。


「婚姻の契約の魔石は、8種類あるようです。

青色は“祝福”ですね。

他にも、赤色は“情熱”、黄色は“優しさ”などがあります。

透明になる魔石もあるようですが、これは王族に多いようです。

夫婦によって何色に変化するのか、なぜその色になるのかは、解明されていません。」

「8種類もあるんですね。

その中のどの色になるのかはわからない・・・。

そして色には意味が込められている・・・。

まるで、魔石を育てる大地からの贈り物のようですね。」

「なんと! なるほど・・・大地からの贈り物とは・・・。」

プロセットさんはブツブツ言いながら、テーブルの上に置いてあった手帳を手に取り、何かを書き始めた。


「失礼いたしました。

それで、これをどのようなアクセサリーに致しましょうか。

まだ迷っていらっしゃるようでしたら、デザイン画を持ってきましたがいかがですか?」

プロセットさんは、持ってきていた冊子をテーブルの上に並べた。


「ありがとうございます。

でも、あの、リングをお願いしたくて、デザインも考えてきたのですが、よろしいですか?」

マーヤが話をし始め、バッグから一枚の紙を取り出してテーブルの上に広げた。

「話が早くて助かりますよ。 拝見させていただきます。

むむむ、これは・・・。」

プロセットさんは、広げたマーヤのデザイン画を手に取って見始めると、目つきが変わった。


「あのー、魔石は加工ができると伺ったのですが・・・。」

マーヤが、デザイン画を食い入るように見ているプロセットさんに聞いた。

プロセットさんはデザイン画から目を離さずに答えた。

「はい、魔石を砕いて熱を与えると溶けますので、いろいろな形にできます。

あの、この紙は頂いてもいいですか?」

「あ、どうぞ。 その形にできますでしょうか?」

やっと顔を上げたプロセットさんが答えた。


「できます、というより、必ず作らさせていただきます。

このデザインは、奥様が考えられたのですか?」

「そう・・ですね、親戚のお姉さんのリングから案を頂いたのですが、その画を描いたのは私です。」

「素晴らしい!

こんなデザインはまだ見たことがありませんよ。

このように作りますとも。

私もこの画のリングが実物になったものを見たいですな。」


今まで営業用の顔だったプロセットさんの笑顔が、砕けて本当に嬉しそうな顔になった。




読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマ登録、評価をよろしくお願いします。

とても励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ