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つまり、俺が彼女の夫でして  作者: 森都 めい
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9. 結婚準備に大忙し

行間の修正をしました。


「それで、子爵令嬢はどんな方だったのですか?」



俺は今、第二回コーリヒトの嫁対策会議に参加し、先日の出張について報告している。

っていうのは大げさだが、四人で昼ご飯を食べているときにフェルナンとウェイン、ロッテから興味津々で聞かれている。


「このコーリヒト様の顔を見ればわかるでしょ?

もう、そのお嬢様に心をわしづかみにされてしまったんですよ。」

俺、どんな顔をしているの?

自分の顔をペタペタと触ってみる。


「まぁ、ロッテ、そんな風に言わなくても・・・。

コーリヒト様は女性には免疫力がなくて、少し優しくされればみんな素敵な人になってしまうんですから。」

みんな、俺のこと、どう思っているの?

三人の顔を見回して見た。

早く聞きたくてうずうずしている目をしていた。


「子爵令嬢は、とても良い人そうに見えたよ。

話もいろいろしたし、これからよろしくお願いしますとも言ってくれたし。」

俺は、子爵様のお話をかいつまんでみんなに話をした。

ただ、彼女と二人で話をした時とその他の時とで、彼女の雰囲気が違うことは伝えなかった。

なんていえばいいかよくわからなかったし、彼女も人前ではまだ怖い気持ちがあるって言っていたから、人が多いとうまく言葉を話せなくなってしまうのかもしれない。


「あらあら、大変な思いをされたんだねぇ。

自分を知らないところでやってみたいってこともわかるけど・・・でもそれとこれとは話が別だから。

ちゃんと庶民としてやっていけるんでしょうねぇ。」

ロッテは相変わらず疑い深い。


「契約の魔石は交わされるのでしょう?

それなら結婚や離婚なんて簡単にできませんから、ちゃんと覚悟して嫁いでくるのでしょう。」

「そうだと思うよ。

魔石は子爵家で用意してくれるって言ってたし。

結婚を考えるのも、理由の一つには魔石の力が欲しいっていうのもあるようだし。

あー、これから家の内装工事とかいろいろするみたいだから、ちょっと騒がしくなるよ。

みんなには迷惑をかけるけどよろしくね。」


「そういえば、婚姻の儀はいつなの?」

ロッテが聞いてきた。

そうだ、言ってなかった。

「来年の三月だって。」

「おやまぁ、それは急がないと!

四か月なんてすぐだよ。

さぁ、急いで片づけるから、みんな早く食べちゃって!」

ロッテ、今から急がなくてもいいんだけど・・・とりあえず、残りのご飯を平げた。

「ウェインもいろいろ頼ることが多くなると思うけど、よろしく頼むよ。」

「はい。」

ウェインはいつも通りだった。



俺は、みんなが言うとおり、今まで女性と付き合ったことなんてなかった。

トリス兄様が気をきかせて女性を紹介してくれたけれど、結構極端な性格な子ばかりだった。

おとなしい女性がいいだろうと紹介してくれた子は、本当におとなしくて、ほとんど声を聞かずに一日が終わった。

それを兄様に話したら、次は話が好きな子を紹介してくれたけど、今度はずっと一人で話をしていて俺は『うん』と言っているだけだった。


次に、と兄様が紹介してくれる子を考えているようだったけど、丁重にお断りした。

別に女性が苦手だとか、いなくてもいいだとか、そんな風には思っていないけれど、もっと一緒にいて楽しいとか何かをしてあげたいとか、そういう気持ちになれる女性がいいな、と両親を見ているとそう思う。

リルマーヤ様とそうなれればいいんだけどな。



◇◆◇



婚姻の儀までの四か月は、やることが多かった。

まずは、家の内装工事だ。

二階の部屋の一つをリルマーヤ様の部屋にした。

母上が部屋の内装の指揮をとったので、そっちに関しては俺はあまり考えずに済み、すべてお任せした。


そして、台所に石窯を置いた。

二段になっていて、少し大きめのものだ。

これはリルマーヤ様のリクエストらしい。

妻の手料理ってものは食べたいからなぁ。

一応料理はするつもりがあるようで、ちょっとほっとした。


そしてもう一つ、リルマーヤ様からのリクエストがあって、お風呂の改装だ。

小さくてもいいからと風呂釜を新調して、シャワーも今まで使っていたものより、いいものを入れた。

それと、温風が出てくる筒を設置した。

火と風の石路せきろを通し、魔法陣で温風が強く出てくるようにしてある。

なんでも、髪の毛を乾かすのに使うそうだ。

子爵家にも設置されていて、なるべく同じようなものにしたいらしい。

温風が出てくる筒とは初めて聞いたが、どんな感じになるのか楽しみだ。


それと、いろいろなところの補修工事や掃除など、この際だからと大々的に行われた。

俺がこの町に来る前は、親父殿やトリス兄様もこの町を治めていて、その時からこの家は使われていた。

だから築年数は結構経っていて、細かいところは破損したり修理が必要だったりしたが、面倒なので、生活に困らないところは放っておかれていた。

それを直したり、加えたり、魔法陣も整えられたりと、二カ月近くかかった。

家の補修工事って結構たいへんなんだなぁ。



それから、俺とリルマーヤ様は、実のところまだ一回しか会っていない。

二回目の顔合わせがもう婚姻の儀、というのもよくないということで、月に一度リルマーヤ様と会った。

会うのは二人で・・・なーんて甘くはない。


最初は、俺が一人でコンヴィスカント家に行って、リルマーヤ様と彼女の兄のキースライノ様と一緒に食事をして話をしたり。

この時に、俺は気になっていたことをリルマーヤ様に聞いてみた。


「ちょっと気になっていることがあって、聞いてもいいですか?」

「ええ、何かしら?」

「あの、顔合わせの時、リルマーヤ様はすごく思いつめた顔をしていたんですけど、何を思っていたのかなぁと・・・。」

「なんだ、リル、そんな怖そうな顔をしていたのか?」

キースライノ様がニヤニヤしながら揶揄う。

「もう、お兄様、違いますわよ。 怖い顔なんてしていませんっ。」

この兄妹、仲がいいんだよな。

何となく、キースライノ様がリルマーヤ様をかまってるって感じがする。

妹って、俺にはいないけど、可愛いのかな。


「あのときは、本当に緊張していて・・・あまり覚えていないんですよね。」

「えー! 俺と庭を歩いたことも覚えていないんですか!」

「いえいえ、それはちゃんと覚えていますわ。

それも覚えていないのはおかしいでしょう、ふふふ。

食事の時ぐらいからかしら、少し緊張が解けてきたので、そこからあとはちゃんと覚えています。」

あー、良かった。そうだよね、あの会話も覚えていないんだったら、俺、泣くぞ。


「病気をしてからは、家族や常時家にいる者以外の方と話をする機会がほとんどなかったし、父上の話を聞くことに集中していたので、そんな気持ちが顔に出てしまったんだと思います。

ご心配かけてすみません。」

「リルマーヤは、もともとは、そんなに人見知りする方ではないから、だんだん人に会うようにしていけば大丈夫だろう。

コーリヒト君にも世話をかけるなぁ。」

「いえ、そういう理由でしたらしょうがないですよ。

気負わずゆっくり慣れていけばいいと思います。」

「ありがとうございます。」


そういう理由があったんなら、よかったよ。

俺と結婚するのが嫌なのかと思っちゃっていたから。

俺は気になっていたことがすっきりして、そのあとの話を楽しんだ。


別の日には、リルマーヤ様が一人でヴォルグ家に来て、みんなで食事をしたり。

ある時は、観劇に行こうということになり、それぞれの親子一緒に六人で、子爵家のあるアグラン市の劇場に行ったのだが、母上が一番興奮していたり。

そんなこんなで、俺とリルマーヤ様というよりは、コンヴィスカント家とヴォルグ家の間がより近くなったかな。


俺は、フェルナンに尻を叩かれながら、仕事をした。

今回の冬は穏やかだったのでほとんど被害もなく、そうそう慌てることもなく助かった。

これ以上仕事が増えたらやばかったなぁ。



そんなふうに毎日が過ぎ、四か月はすぐに経ち、俺たちは婚姻の儀の日を迎えた。



読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマ、評価をありがとうございます。

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