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第八十二話 おツマミ会議②


「……混ぜる?」


 ファディスがきょとんとした様子で目を丸くした。


「ああ」

「吾輩も村を探索中に、村の御仁に『コーディアル』をいただいたのである! それを混ぜればどうなるか……想像するだけで……くう~ッ」

「コーディアルっていうのは、蜂蜜に季節の果物やハーブなんかを漬け込んだシロップなんだ。甘みもありつつ独特な苦みもあるワインなら、合うんじゃないかって」

「へぇ……、イイじゃん! 飲んでみようぜ」


 仔細を聞けば、ファディスの顔は途端にきらきらと輝き始めた。

 ハルガさんと一緒で、ほんと酒好きなんだろうな。


「聞きそびれはしたが、村の御仁もこのように飲んでおるやもしれんなぁ」

「ではさっそく……俺がやりますよ」

『イエーイ!』

「ツークの分はないぞ?」

『で、デスヨネィ』


 昼間なこともあり、量は控えめに二つを混ぜ合わせてみることに。

 小さめのグラスを三つ用意して、二人が持ってきてくれた瓶を掴む。


「……おお」

『ホォ~』


 【鑑定】で見るまでもないほど、高品質と思われる見た目。

 瓶から透けて見えるそれぞれの液体は、確証もないのに濃厚で体に染みわたりそうなものに見えた。


 そういえば……貯蔵庫にあったワインビネガー。

 あの鮮やかな色は右手に持ったワインボトルの中身と似通っており、お酒でなくとも元の原材料は同じ。そっちを混ぜても美味しいと思う。


「こっちは果物の水分で、ちょっとサラサラしてるな」


 左手に持ったコーディアル。

 果物やハーブと漬ける前の蜂蜜というのはドロっと、ややねっとりとしたものだったと思うが。一緒に漬け込んだものの水分が合わさって、さらっとした液体になっている。

 飲み物としては丁度いいな。


「1:1でいいのか……?」


 いや、コーディアルを水で割って飲むときは結構な割合で水を足していたような……?ワイン多めの方がいいだろう。


『キレイッスねぇ~』


 零れないよう慎重に小さなグラスに注いでいく。

 紅い宝石のようだったワイン。

 外の空気に触れ、コーディアルで薄められる様子はなんだか贅沢な遊びをしているような気持ちになる。


「こんなもんか?」

「おお……!」

「いいじゃん」


 ぎゅっと凝縮されたような紅い宝石が溶け出して、ほんのり明るさを増した赤色の液体へと変わった。

 グラスが小さいからシロップのみ追加したけど、コーディアルの瓶の中に入っているハーブや果実も一緒に入れたらもっと美味しそうだ。


「じゃ」


 三人でグラスを手に取り、コンッとグラス同士を合わせて乾杯の合図。

 ちびちびと飲む俺とは対照的に、ファディスとハルガさんはぐいっと一気にいった。


「……!」

「──!!」

「! 美味しいなこれ……!」


 果実の爽やかさ、シロップの甘み。ワインの持つ元々の甘みと、太陽の元熟成されたことによる渋み。

 それらが混ざるとこうなるのか……!

 上手くいえないが一体感……というよりは、あちらこちらから違った風味が顔を覗かせる、おもしろい口当たりだ。


「これ、油断したら確実に飲みすぎるな……」

「いやはや、なんとよい組み合わせか!!」

「甘いもんが好きなうちの国で流行りそうだぜ」


 帝国の人は甘いものが好きなんだな。


「ワインに、コーディアルは合う……」


 仮にここに魚醤(ガルム)を加えるとなると、甘じょっぱい味だよなぁ。


「……あ、そうだ!」

『どうしやした? アニキィ』

「前にカチャパナやサンドを作った時にさ、思ったんだよな」

『なにをでしょう?』

「中に挟む肉。スパイシーな味付けだったり、シンプルに塩胡椒だったりで作ったけど、甘じょっぱい味も合いそうだよなって」

『……ッ!?』

「おー、いんじゃね?」

「その場合、ワインはそのままで飲みたいであるなぁ!」


 肉か……。

 あるいは、今度ハイケアに行って魚のカチャパナにでもチャレンジしてみるか?


「ちょっとアイデア固まったかも……!」

『イエーイ!』

「ほう。それはよかったである!」

「味見は任せな」


 ハルガさんとファディスのおかげで、ちょっといいアイデアが浮かんだかもしれない!




想定より長くお休みいただきましたm(_ _)m

おかげさまで他サイトに長編を1つupできました。


2月は半月ほど自宅を空けていたのと、帰ってきてからの花粉症がエグくてほぼ手付かずでした。


ちょっとずつ感覚を取り戻して参ります……!


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美味しそう!飲みたぁーいw
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