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第四話 ツーク様、ご乱心?


「飯バフ~~?」


 またツークが変な言葉を生み出した。


『へい! オレっち、名案だと思うんですがねぇ!』


 ドヤ顔で腰に手を当てるツーク。

 黙っていたらかわいいんだが。


「いやいや。そもそも俺、冒険者(めし)しか作れんし」


 料理を生業とするには、ちと自己流すぎやしないか?

 弟子入りしてまで教えを受けたこともない。


『考えてみてくだせぇ。ルーエ村には、毎日高ランク冒険者によって狩られた魔素の豊富な魔物の肉、採取物なんかが店先に並ぶんですぜ? ……たぶん』

「それはまぁ、冒険者にはいい環境だな」

『でしょう!? ふつうに料理するだけならともかく、アニキの料理はソロの冒険者にとってはパーティメンバーを雇わずに付与術師の恩恵を得られるってもの! こりゃぁ当たりますよ!』


 なぜかツークの目が金貨に見える。

 俺はべつに、金儲けがしたいわけではないが……。


「俺程度の術師なら、その辺にでもいるだろうし。ルーエ村になら、同業者だっているんじゃないか?」

『甘いですぜ、アニキ。付与術師の人気のなさをなめちゃいけませんよ!』

「……」


 人気が……、ない。

 なるほど。知ってはいたが……。


『ハッ!?』


 ツークが失言に気付いてオロオロと俺の肩に乗ってきた。


『あっ、アニキの人気がないってワケじゃありませんぜ!?』

「いいんだよ、ツーク」


 ひゅるりと冷たい風が俺に吹き付けた気分だ。

 付与術師に加えて、いい歳したおっさん。

 こりゃ追放もされるか。


『で、でもほら。冒険者以上にアニキのスキルが役立ちますよ、きっと』

「たしかに、それはあるかもだが」


 スキル。

 この世界の誰もが一つは授かるそれは、神からの贈り物だとも言える。


 それは何も戦いの術となるものだけではない。

 人は六歳でそれを魔道具で知ることとなり、それに基づいて将来設計を立てることもしばしば。


 俺には、【鑑定】というスキルが贈られた。

 正直……、うん。使い勝手はいいが、強さには直結しない。


 薬草採取の依頼とかは便利だし、(さば)かれた魔物肉がなんの肉か分からなくても名前や肉質がどうとか分かるし。


 便利っちゃ便利。

 だけど、俺がサポートに徹するしかない理由でもある。


 身体能力が元より高いとか、もっと派手な魔法が使えてたとかならよかったんだが……。

 攻撃魔法、適性がないから使えたとしても初級しか使えないんだよな。

 回復魔法の使い手は元より希少で、俺には適性ゼロ。

 そっちはリリムに全任せで俺は補助に徹してた。


 あぁ、それがイヤだったのかな……。


『アニキ。とりあえず、ルーエ村を視察してはどうでしょう?』

「う~~ん」


 たしかに、このまま王都にいてもまた一からのスタートだ。

 だったら心機一転、ちがう場所に移動して……ダメそうならまた移動すればいいか。


「そうだな。行くだけ行って、ムリなら近くのハイケアもあるしな」

『イエーイ! それでこそアニキィ!』


 ひとまず、ルーエ村。ギルドはあるみたいだし。

 行ってみてその後のことはまた考えよう。


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