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第98話


 アラダインの首元から勢いよく流れ出た血がサトルと、緑の草原を赤に染め上げる。

 

 事は成した。


 だが、サトルの心に残るのは、達成感や強敵を退けた高揚感ではなかった。

 ただただ静かに虚しさが残るのであった。


 これがサトル自身、仲城覚本人の気持ちなのか……両の剣から流れ込んでくるアレイスターの気持ちなのかは判然としない。


「サトル!」


 気持ちの整理がつかぬまま、戦いの行く末を見守っていたマリーがサトルを呼び、振り向いた彼の胸に彼女は飛び込んだ。


 彼女の温かさで……心の底からじんわりと湧きあがる安堵に、サトルの心は満たされたのだった。


「サトル! マリー!」


 サラニア軍の後方から走って来たのはニーアであった。彼女に付いた血がその奮戦を物語っている。


 アラダインと対峙していたため、後方へと去った騎馬隊は彼女達に任せっきりだったが、ニーアがここに来たという事は一応の決着はついたようであった。


「アラダインとの決着はついたみたいね」


 草原に転がるアラダインの首を見て言うニーア。


「途中サトルが召喚した彼女達が消えちゃったときは、もしかしたらって心配したんだからね!」


 それはアインスとツヴァイの事だ。恐らくエクスカリバーが手元から離れた後、しばらくして接続が切れるように消失してしまったのだろう。

 それまでにドライはサトル達を助け、そして勇者殺しの剣によってもう二度と戻らなくなってしまった……


 サトルは弾き飛ばされ、草原に転がる聖剣を手にしてマーダードールズを呼び出す。

 その呼び声に応えたのはやはりアインスとツヴァイだけであった。


「すまない……」


 スキルとは言え、人の形をした彼女らにはサトル自らの口から直接その言葉を伝えたかった。


「いえ、マスターをお守するのが私達の使命ですから。でも……できれば謝罪ではなく、感謝の言葉を頂けませんか?」


 アインスは悲し気な表情を浮かべながらも、強い意志の眼差しをサトルに向けた。


「ありがとう」

「はい! また何かあれば私達をお呼びください。マイマスター」


 そう言うと、アインスとツヴァイはゆっくりと消えていなくなった。


「よし。じゃぁ終わらせましょう」


 しばらくして言葉を発したのはニーアだった。


「終わらせる?」

「そうよサトル。この戦争を終わらせるのよ」


 アラダインを打ち倒したものの、戦争はまだ何も終わっていない。前方には今だ進軍を続けるメロベキア兵達がいるのである。


「サトル、もうひと仕事頑張ってもらうわよ」


 

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