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第89話


 だが、サトルはアラダインに向けてグングニールを放つ。

 自分自身すらも爆発に巻き込まれることも覚悟してだ。


 死にさえしなければ、スキル「パナケイア」を使って治すことはできる。


 そんな半分決死の想いで放った殲滅の一閃はアラダインによって切り裂かれる。直後、奴は馬から跳躍して見せた。十メートルはあるだろう距離をその跳躍で無理矢理埋めてくる。


 完全な近距離戦に持ち込む気だ。


 騎馬の力を借りたとは言え、鎧を纏った状態でこれ程の跳躍を見せるとは恐るべき人間である。

 だが、奴の行動にサトルは勝ちを確信した。もしかするとアラダインはエクスカリバーの特性をいまいち理解していないのかもしれない。


 今まで勇者だけが持つことを許された剣。


 ただ勇者にしか所有を許さない、丈夫で血に濡れぬ、よく斬れる剣くらいの認識しかないのだろうとサトルは考えた。

 このままアラダインの剣を受け止めれば、エクスカリバーの特性により奴の持つ剣は解けたバターのように切断され、伝説の剣がアラダインを両断するだろう。


 空中を疾走して迫るアラダイン。サトルは奴の口元が歪むのをしかと見た。


 直後、エクスカリバーに、それを持つサトルの両腕に思いもしていない衝撃と重量がのしかかる。

 クリエ草原に硬質な金属同士がぶつかり合う、甲高い慟哭が鳴り響いた。


「なっ!?」


 驚きに思考は真っ白だが、サトルの身体は別の意思を持ってその衝撃をいなし捌いて見せた。

 これはウェポンマスターの力で引き出したエクスカリバーの記憶ではない。


 ニーアにみっちりしごかれ、サトル自身が身体に覚えさせた防御術である。

 その対処に驚いたかのようで、アラダインは目を見開きサトルを見た。そしてすぐさま、衝撃の反動を利用するように飛び退く。


 距離を取って剣を構えるアラダインに対して、サトルも防御姿勢の構えを取る。


三度(みたび)の邂逅でありますな。勇者殿。なんと目覚ましい成長! このアラダイン感服致しますぞ!」


 サトルを称えるような言葉だが、内心では嘲笑っている。そう感じさせるほどに絶対的な自信と傲慢さが、アラダインの言葉から、佇まいから、その手に持つ剣から溢れだしていた。


「馬鹿にするなアラダイン!」


 そう感じ取ったサトルは奴に向けて怒気をさらけ出して睨み付ける。


「いやいや、私は純粋に思ったことを口に出しただけでございます。今まで、その剣を握った道具達に、そのような剣技を使う物はおりませんでした。で、あるならばスキルの力ではなく、勇者殿の学んだ剣技なのでしょう?」


 歴代の勇者を道具だと臆面もなく吐き捨て、所詮はメロベキアに使われるだけの物に過ぎないと言う意味を孕んだ言葉を並べるアラダイン。



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