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第88話


 グングニールの弾数にも制限がある。無暗に撃って無駄弾にする程余裕はないのだ。

 サトルはグングニールを展開し、そして待つ。


 この時サトルは元の世界のとある言葉を思い出していた。


「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」


 見てから避けられるならばもっと相手を接近させてから放てばいい。無理に直撃を当てる必要はない。爆風で奴らの乗る馬さえ、行動不能にすればいいのだ。

 そうすれば後は頑丈な鎧で機動力の落ちた騎士だけが残る。囲んで叩くにしろ、グングニールを打ち込むにしろ好きにすればいい。


「落ち着てサトル。こんな序盤でアラダインを投入してきたってことは相手は相当焦ってる」

「あぁ、俺もそう思う」


 序盤の無謀にも思える行軍は布石。歴代勇者のスキルを手に入れたサトルがどれほどの脅威になるかを確かめるための……


 そして奴らは判断した。このままいけば、悪戯に兵を死地に送るだけだと。


 だからこその、騎士団長アラダインのお出ましだ。これはサトル、ニーア達サラニア軍としても嬉しい展開でもある。


 ウェポンマスターで扱う勇者スキルの制限が一抹の敗北を孕んでいた。しかし、メロベキアの切り札となるアラダインを倒せば残りの兵士たちの士気は地に落ちるだろう。


 制限を知る由もない彼らからすれば、最早打つ手なし……これ以上の血を流すことなく降伏させることもできるかもしれない。


「これで終わらせてやる!」


 十分に接近したアラダインと騎馬隊の一団にグングニールを放つ。その距離ならば直接射貫くことができなくとも、後の爆発の余波が馬を襲うことになる。


 サトルは勝ちを確信していた。だが……


 アラダインは迫るグングニールから逃れる様子がない。いやそれどころか、自ら殲滅の一閃へと駆けているように見える。


 奴は腰に携えた一本の剣を引き抜き、グングニール目掛けて振り抜いた。

 その瞬間、殲滅の一閃は霧散して消え去る。


 対象を射抜きもせず、接触による爆発も起きずにただただ消滅したのだ。


「な!?」


 目の前に起きた不可解な出来事にサトルは混乱する。

 何が起きたのかがわからない。


 それでもサトルは展開しているグングニールをアラダインに向けて放つ、放つ、放つ。

 だが、アラダインは迫るグングニールを悉く切り裂き消滅させていく。


 な、なんだ!? なぜグングニールが――


「サトル!」


 混乱するサトルの頭がニーアの一喝で揺り戻される。


 思考の合間にアラダインはサトルに肉薄していた。ここでグングニールを放てばサトルも爆発に巻き込まれる程の距離までに……



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