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第83話


 この二カ月でサトルが努めたのは、歴代勇者スキルについての文献とスキルへの理解を進めること、そしてニーアによる基礎訓練。


 勇者のスキルと、それを自由に行使できるウェポンマスターと言うスキルは驚異と言えるが、スキル他者のスキルに関しては何か強いきっかけがなければ引き出すことができない。


 アラダインに追われ、窮地に立たされたサトルは強く増援を願いマーダードールズのスキルを呼び覚ました。逸話を聞いたことでパナケイアを発動させた。


 ほんの些細なきっかけでもいい。後はスキルを通じてエクスカリバーが教えてくれる。

 そして、手の内は多いに越したことはないのだ。


 二ーアによる基礎訓練はサトルの自己防衛のための訓練だ。歴代勇者の中で、真に剣などと言うのを使いこなした者はおらず、すべては強力なスキル依存であった。


 そのため、エクスカリバーには高度な剣術を使いこなす経験、スキルが存在しなかった。

 それが故に今まで、その弱点を突いて勇者討伐が成せていたのだが……


 もしものための防衛手段。そのためにサトルはニーアとの戦闘訓練に挑んだ。スポーツなど無縁なサトルの肉体は貧弱そのもの、エクスカリバーの特性やスキルのおかげでまともに剣を振れていたが、真新しい剣はサトルには重くのしかかりただ振り回されるだけであった。


 たかだか二カ月ではあるが、ニーアの厳しい戦闘訓練の賜物か、サトルの体つきは変貌した。少なくとも、普通に剣を振るう程度にはではあるが……


「頼むわよ。勇者様」

「あ、ああ……」


 ニーアの言葉に気のない返事をするサトル。


「緊張してるの? それとも、まだ誰かを殺すのが怖い?」

「あぁ、正直少し怖い。勇者のスキルを使えば何万の人間が死ぬかも予想できない。どれだけの人間の恨みを買って、どれだけの人間の涙が流れるかわからない」


 グングニールを放った際、何人も殺した。その時は何も感じず、逆にそのことが怖かった。しかし、改めてその時のことを思い返すと心臓にチクチクと刺さるような感覚を覚えた。


「以前、私に相談した時のことを覚えている?」


 それは殺した罪悪感が強く、眠れぬ夜が続いたときのことだ。サトルはニーアにそのことと逃亡の際の攻撃では罪の意識を感じなかったことについて相談した。


 自分はまた敵を殺すことに躊躇するかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

 どれだけ誰からのためと心を(たぶら)かし、(たかぶ)らせたとしてもいざその時になってみないとわからないと……


 その時彼女はその揺れ動く心の問題に対して一つの解答をくれた。


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