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第78話


 石のベンチに並んで座るサトルとマリー。

 サトルの目測通り、そのベンチは少し小さ目で、自然と二人の方が触れ合う距離であった。


 別にこれくらいの距離など、大したことはないはずだ。ここサザラに向かう馬車も手狭で、ニーアも含めてこれくらいの距離感であったはずなのだ。


 だが、サトルの緊張は更に上がっていく。


 それは大方、先程購入したプレゼントが起因であろうとサトルは考える。意中の女性へ渡す初めてのプレゼント。


 しかもただの贈り物ではない。送った瞬間、自分の好意が相手に十二分に伝わってしまうような代物だ。だが、サトルは敢えてそれを選んだ。己で決意した。


 これからメロベキアとの戦いが始まる。


 それは間違いなく生死を賭けた戦いとなるだろう。今マリーに抱いているこの思いを、後悔せずに伝えるには今この時において他はない。


「えっと……マ――」

「サトルはどんなの買って来たの?」


 意を決してプレゼントを渡そうとしたが、出鼻をくじかれるサトル。

 一瞬何を聞かれているのかわからなかったが、元々昼食を買うために二手に分かれたことを思い出す。


「えっと……あぁ俺はこう言うの買って来たんだ」


 ローブに忍ばせているペンダントをいったんしまい、ファストフードな肉とポテトを取り出した。


 プレゼントを渡すなら食事の後でいいじゃないか、そうだ、そうに違いないとサトルは内心ホッとした。


「これって、ヨースの肉とサバイモを焼いたモノ?」


 と言われたものの、サトルの異世界知識は日常的な言語と簡単な常識程度に留まる。ヨースがどんな姿をした動物なのかわからないし、サバイヤと言う野菜も知識にない。


 もしかするとサトルが買って来たものはあまり良くないものなのかもしれない。

 事情があって安価な物しか買えなかったとは言え、買ってこられたらガッガリする食べ物ナンバーワンなのかもしれない。


 なんだかマリーが恥ずかしそうな、気まずそうな表情をしているのを見ると、大きな失敗をしたのではないかとサトルは落胆した。


 彼女はおずおずと一つの紙袋を取り出した。そして封をあけてその中身をサトルに見せる。


「え、それって……」


 袋の中身に既視感を覚える。

 サトルが買ってきたヨース肉とサバイモを焼いたもの――マリー曰く――である。


 彼女の複雑な表情の答えはこれだった。二人とも全く同じ昼食を買ってきてしまったのだ。サトルは内心で少しホッとして……


「はは、ははははは!」


 自然と笑いが出た。それにつられたようで、マリーの顔もほころぶ。


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