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第75話


「わぁ綺麗……」


 そんなアクセサリー群に目を輝かせているマリー。サトルは意外だと思った。

 今までサトルはマリーにサバサバした印象をもっていたからである。口には出さないが、男勝りな姉さん的なとでも言おうか……


 そんな彼女が小さな少女のように、安価な光物に夢中になっているところをみて、これが貴族時代の彼女なのだろうとサトルは思う。


 父が不当な処刑を受け、理不尽なまでの生活の逆転。没落村のなかでも彼女は強く生きてきた。それがマリーの本質なのだと考えていた。


 しかし、実のところはただの強がりであり本当は今の彼女の表情自身がありのままのマルグリット・フォン・ハルツェンブッシュなのではないかと――そう感じた。


「何か欲しいものがあるのか?」


 商品に目移りするようにアクセサリーを眺めていたマリーの視線が今は一点に集中している。それは店主の目の前に鎮座している花を象ったものだ。


 黄色い大きな花弁が特徴的なそれは、サトルの知る花である向日葵を思わせた。

 確かに綺麗だし、マリーにとても似合いそうだと思うサトル。


「え、いや……大丈夫」


 だが、マリーの返事はなんとも曖昧である。


「あぁ……」


 何故彼女がそんな態度なのかは、そのアクセサリーの下に書かれた値段を見て納得がいく。

 その値段は銀貨五枚。


 ニーアに支給された硬貨から見るに、十分に高価な代物だ。彼女が躊躇するのも分かる。


「お客さんお目が高いね! それは守護の加護が施されたと言われるペンダントさ! どうだね、今だからこその銀貨五枚!」

「あ、えっとちょっと考えます……」


 そんな曖昧な返事をし、マリーはサトルの手を取りその露店を後にした。

 再び雑踏へと足を踏み入れた二人。


「欲しかったんじゃないのか?」

「うーん、いいの。昔お父様に頂いたペンダントに似てるなって思っただけだから……それにあの値段じゃねぇ」

「じゃぁ俺が――」

「あ! 広場だよ!」


 サトルが言い出そうとした瞬間、通りから広大な広場に到着した。中心にはひと際目を引く噴水が設置されており、家族連れや恋人同士、友人同士で集まって食事をしている様子だ。


「お腹空いたね」

「あ、あぁ……そうだな」


 勢いで言おうとしたことが、広場の出現で止められて言えなくなってしまったサトル。


「そろそろ昼食の時間だし……そうだ!」


 ここであることに閃くサトル。


「なぁマリー。ここから手分けして昼を買いにいかないか?」

「手分けして?」

「そう。せっかくいろんな露店があるし、うまそうなのを買ってこの広場で落ち合うのはどうだ?」

「それ、面白そうね」


 そして二人は別れて昼食を買いに出かけた。



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