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第72話


 頑丈な城壁に囲まれた首都サザラ。メロベキアの勇者がこちらの味方になったと言う情報事態は一般民衆にまで知れ渡っているが、サトルの顏を知るのは難民地区の一部の人間だけだ。とは言っても、どんな形で正体がばれるかもわからない。


 念のためローブを着て、深めにフードを被る。聖剣に関しては迎賓館で用意されているサトルの部屋に置き去りだ。


 不用心の思えるかもしれないが、あの剣は勇者以外が扱うことどころか、持つことすらできない。そして、今この世界にいる勇者はサトルただ一人である。故に、聖剣が持ち出されることなどないのだ。


 逆に身に着けることで、勇者の存在がばれる可能性の方が高いと言えよう。こんなところでいらぬ混乱を起こさないためにも聖剣はお留守番である。


「へぇすごい賑わいだな」


 サトル達がやって来たのはサザラの言わばメインストリート。雑貨、野菜や果物、アクセサリーなどいろいろな露店が立ち並んでいる。


「まるで祭りの出店だ」


 混乱が起きないように、迎賓館へは町の外れを通り入った。サラニアのお偉い方もいきなりの勇者の訪問に慌てていたようで、そう言った処置となった。


「随分賑やかなところね」


 サトルの横に立つマリーが言う。


「メロ――あの国じゃこんな賑わいなんてなかったもの」


 メロベキア……サラニアは彼の国の侵略行為で追われた人々が大半を占めるため、その国の名はある種の禁句となっている。


 そのため、マリーがどんな境遇であったとしても元メロベキアの貴族であることは伏せておいた方がいいだろう。


「結局俺はあの城と、例の村しか知らないが……城下町はどんな感じだったんだ?」


 メロベキアは決して貧相な国ではない。侵略行為を繰り返し、肥え太った国だ。王城の眼下に広がる町はさぞ賑わっていると思っていたが……


「そうね……お店はたくさん並んでいたし、閑散としていたわけじゃないけど。みんなどこか怯えていた感じね。いつどこでどんな密告をされるか分かったものじゃないもの。道端に唾を吐いたと言われて、それは国王に対する反逆行為だってあの村に送られた人もいたくらい」


 路上に唾を吐いたならとんだマナー違反だが、それだけで追放処分は重すぎる罪だ。だが、何よりもマリーが唾を吐いたと事実をぼかしたという事だ。つまりそう言うことなのだろう。


 町を歩けば冤罪で追放される。それがメロベキアと言う国なのだ。



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