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第7話


 だたっ広く、豪華でどことなく落ち着かない部屋に据え付けられたフカフカのベッドの上での転がるサトル。元の世界の自分のベッドよりもよっぽど上等である。


「勇者か……」


 召喚後の不機嫌な気持ちはすっぱりと消え去り、自分が勇者として異世界へと召喚された実感が沸々と沸いてくる。実に不思議な感覚だ。元いた世界での暮らしでもあまり上がらないモチベーションが上がっていく。


 拳を握りしめ天へと突き出す。これから訪れるであろう冒険に胸をときめかせながら、妄想を膨らませる。


 ――コンコンコンコン


 すると扉を軽く叩く音がリズミカルに四回聞こえた。


「お食事をお持ちしました」


 メレニアの声だ。どうやら、思ったよりもベッドで考え込んでいる時間が長かったようだ。彼女に入室の許可を出した。


 メレニアは、ワゴンに乗せられたどこぞの高級店で出てきそうな料理の数々をテーブルに整然と並べて行く。彼女曰く、気に入った物を好きなだけ食べてくれだそうだ。


 確かに今日この世界に来た人間の好物なんかわかるはずもないだろう。


 サトルはそれぞれの料理を少しずつ摘まんで食べた。どれも今ままで味わったことのない物ばかりだったが、どれも美味しく手が止まらない。その間もテーブルの横で控えているメレニア。


「メレニアは食べないのか?」

「メイド風情が勇者様と同じ席につくなど、許されません。どうぞ気にせず、食事をお楽しみください」


 とサトルの提案は断られてしまった。召喚時に与えられた知識はそんな所までカバーしていないので、恐らく彼女の態度が正しいものなのだろう。国の相談役、サラディも彼女は優秀な人材だと言っていた。


 サトルはメレニアの言葉に大人しく従って美味しく食事を楽しんだ。


 ひとしきり食事を終え、膨れた腹をさすりながらメレニアに淹れてもらったお茶を楽しむ。ハーブティーだろうか? 最終的に肉料理ばかり食べていたサトルの舌をすっきりとさせる味と香りだ。


「それでは私は湯あみの準備をして参ります」


 一礼して部屋を出ていくメレニア。彼女がこの部屋を案内してたときに言っていたが、大浴場らしい。恐らくこれもVIP待遇な貸し切り状態なのだろう。


 家庭用の小さな風呂しか入浴の経験のないサトルとしては、それが豪華な待遇なのかは謎であるが、せっかくなので楽しみにしておこう。


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