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第65話


 荷馬車に乗り込むとすぐに動き出した。すでに目的地は決まっているらしい。


「それで、これからどうするんだ?」

「ちょっとアクシデントがあったけど、これからサラニアに向かうわ。到着してからの事はその時話すけど……元あった計画とは大きく変更ね」


 変更……それはサトルの力が関係しているのだろう。


「ウェポンマスター……想定以上におかしいスキルね」

「あぁ……あれはもしかして今までの勇者のスキルってことなのか?」

「恐らくね。私もその目で見たことは無いけど、間違いないでしょうね。あの剣を所有していた勇者のスキルまで再現できるなんてね」


 ただ武器の経験を再現するだけのスキルだとばかり思っていた。いや厳密に言えば剣を持って使われたスキルもその経験の再現なのか――


「あんなの見せられちゃメロベキアも黙ってはいないはず……そう言えばアラダインは倒せたの? 聖剣のスキルで何か召喚してたみたいだけど」


 聖剣の経験に刻まれたスキルの一つ。マーダードールズ――三人の少女を召喚するスキル。


「わからない。その後彼女らがどうなったかもだ」

「スキルで召還したならここに召喚することはできないの? 彼女達から直接事情を聞けたりしないのかな?」


 サトルの横にいるマリーが提案する。


「そうだな。試してみるよ」


 サトルは聖剣エクスカリバーを握る。だが、スキルなんてものをどうやって自発的に使っていいのかわからない。


「えーと、現れよマーダードールズ!」


 なので、サトルは適当にそれっぽいことを言ってみることにした。

 しばらくの沈黙の後、サトルが気恥ずかしくなって今の発言を撤回したくなった頃に荷馬車内で淡い光が三つ飛び出し、彼女達が現れた。


「呼ばれて飛び出てマーダードールズです! 改めて初めましてマイマスター! 私はリーダーのアインス!」


 赤い服のアインス、蒼い服のツヴァイ、黒の服のドライと彼女達はそれぞれ挨拶をした。


 彼女達の意匠はサトルには見当もつかないが、恐らくマーダードールズを取得した勇者の完全趣味のものだろうと想像はついた。


「それにしても、三人出てくる必要ないんじゃない?」


 ニーアが少し呆れ気味に言う。今荷馬車の中は計六人となりそれはそれは狭い状況だ。

 サトルとしては可愛い女子たちに囲まれて、悪い気は全くしないのだが、何故か少しばかりマリーの視線が痛い。


「問題ありません! 私達はみんな林檎三個分の重さですから!」

「いや、そう言う問題じゃないんだけど。まぁ一応の会話ができるみたいだしさっさと聞いて帰って貰って」



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