表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/106

第6話


 メレニアに案内された部屋は……とにかく豪華だった。そう言った知識に乏しいサトルでさえも、その部屋に置かれた家具や調度品の数々は高価であるだろうと言うことが、ひしひしと伝わってくる。


 いつもの不思議な発見をさせてくれる某番組で王族が使った部屋と紹介されても違和感ないような部屋だった。これがスペシャルゲストである、異世界からの勇者を迎えるに相応しい客室なのだろう。


 だが、サトルとしては逆に落ち着かない。豪華な調度品を壊せばどれ程の弁償額が発生するのだろうか、少しでも汚すとどうなってしまうのだろうかと心配になって部屋に入ったはいいものの、身動きできずにいた。


「上着をお預かり致します」


 そう言ってメレニアがサトルの隣に立つ。整った可愛らしいさの成分が多めのメレニアの顔が急に近くに出現してドギマギするサトル。決して全く女性への免疫がないわけではない。


 しかし、これ程魅力溢れた女性はテレビや雑誌の向こう側でしか見たことがない。


 サトルは学ランのボタンに手を掛ける。その時、一つの疑問に辿り着いた。


「俺の荷物とかは?」


 朝の通学でスクールバッグを持っていたはずだ。そしてよくよく思い出してみると召喚されたときにはそう言った手荷物はなかった。次は学生服のポケットというポケットを(まさぐ)ってみる。


 しかし、入れておいたスマホどころか、ティッシュやハンカチすら見つからない。身に着けていたであろう小物や手荷物が一切合切紛失してしまっているのだ。


「如何致しましたか?」


 必死になってポケット弄っていたサトルを心配そうな表情で見つめるメレニア。


「あ、いや……何でもないんだ」


 サトルはボタンを外し、脱いだ上着を彼女に手渡す。メレニアは丁寧に上着をたたみ、ベッド横の棚の上に置いた。


「それでは後程お食事を届けに参ります。それまでどうかごゆるりとお休みください」


 深く頭を下げ、メレニアは部屋を出て行った。召喚されてからそう時間は立っていないだろうが、久々に一人になれたことに安堵する。そしてなくなってしまった持ち物に関して思いを馳せる。


 スクールバッグはまぁどうせろくなものは入っていないから別段困ることもない。しかし、スマホが無いのは落ち着かないな……


 最早体の一部と言っても過言ではない、現代人にとっての必需品スマートフォン。それが無いと言うのはなんとも落ち着かない。どうせこちらに持ってこれていたとしても、すぐに充電切れによってプラスチックの塊になるだけなのだが。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ