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第58話


「お嬢ちゃん挑戦するのかい? まぁいい記念にはなるだろうね」

「二人でやってみてもいいかしら?」

「あぁ構わないさ。俺も長くここの番をしているが、どんな奴がやってみても動いた試しがねぇ」


 兵士の許可を得て、ニーアとマリーは二人で聖剣の柄を掴んだ。そして、精一杯の力で剣を引き抜きにかかる。そんな光景を観光客と兵士が温かく見守っている。


「二人じゃ持ちにくいだろう。刃の部分を持ってもいいんだぜ。不思議なことにその聖剣様は全く斬れないんだよ。きっと勇者がもって初めて斬れるようになるんだろうな」


 奮闘する二人を見て、兵士がそんなこと言う。勇者しか持てない上に、勇者が持たなければ置き物の刃としても機能しないのだと言う。


 それを聞いたニーアはその鋭そうな刃に手を這わせてみた。だが彼女の白い手に赤が浮かび上がるようなことはなかった。


「うーんやっぱり無理ね」


 ここまでは計画通りと言うところだろうか。


「俺にもやらせてみてくれ」


 タイミングを見計らってサトルが前に出る。兵士に銅貨を渡し、聖剣の前に立つ。


「お兄ちゃんそんなに気張ってもどうせ抜けやしないさ。まぁせっかくの記念だからな、十分に堪能してってくれよ」


 サトルの緊張が兵士や周りの観光客に伝わってしまっていたようだ。彼らにはわからないだろうが、この剣が抜けるか抜けないかはサトルにとって大きな問題である。


 それを前にして緊張するなと言うのが無理難題。


 サトルがエクスカリバーの柄を掴む。するとその瞬間、グラリと剣が動く感触が手を伝わってきた。その後、さっきまで感じなかった聖剣の重みがサトルの両の手にのしかかる。


 それほどの重量ではないが、突然発生した重みにサトルは困惑する。現在の勇者であるサトルが触れたことにより、エクスカリバーは何でも斬れると言う特性を取りも出したのだろう。


 緊張で小刻みに手が震えるが、それを必死で抑え込み、周りに視線をやるサトル。


 周りの反応はと言えば、誰も見ていなかった。


 兵士も観光客達も、抜けぬ聖剣の事など眼中になく、興味を失っている様子だった。

 絶好の好機。


 サトルがニーアを見ると、彼女はすぐさま手を前に出し合図を返した。彼女は震える程度に動いた聖剣のことをしっかりと見ていたのだろう。


 兵士の気を引きつけるまで、待ての合図だ。


 ニーアがさりげなく兵士に近付いていく様をサトルが見守っている時。


 ――バンッ――


 大きな音がした方へとサトルが目をやると、休憩所らしき小屋の扉が開け放たれており、そこには見知った顏……アラダイン・フォン・セドキアが立っていた。



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