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第57話


 エクスカリバーのガード中央部には蒼い宝石が埋め込まれており、日の光の中でも負けじと輝いている。

 サトルがもつハルツェンブッシュ卿の剣と比べれば、かなり大きい部類の剣のようだ。


 サトルのイメージでは丈夫そうな石台に突き刺さって、真の持ち主を待つかのような想像をしていた。


 しかし、そんな聖剣は本当にただ地面に刺さっているようにしか見えない。勇者が取り零し、それがただ地面に刺さったかのように斜めを向いている。


「誰も抜けない聖剣……観光の目玉の一つで、実際に剣に触れることもできるの」


 聖剣の豪奢な装飾が見えるところまで近づいた頃ニーアが言った。

 そう話すや否や観光客が一人、前に出て突き刺さった聖剣の柄に手を伸ばす。


 屈強な肉体を持つ彼は、いかにも力自慢とでも言いたそうに他の人たちに自慢の力コブを見せつけていた。


 だが、そんな彼が柄を力強く握り締め、引き抜こうとしているが全く動く気配がしない。

 自慢の力コブは隆起し、力一杯に必死で引き抜こうとしている様子よくわかるが、エクスカリバーが動く様子もない。


 サトルは彼が名うてのパフォーマーなのではないかと思うほどに聖剣はビクともしない。

 あれが演技ならばきっと彼はそれだけで世界を取れるだろう。


 しばらくして疲れ果てように他の観光客たちの元に戻る屈強な男の手は、力の入れ過ぎか真っ赤になっていた。


「さぁ他にこの剣を抜こうと言う恐れ知らずはいないか? 料金は銅貨一枚だ」


 絶対に抜けない聖剣を抜くチャンスを銅貨一枚で売る兵士のやる気には、まるで商売っけを感じなかった。


 ここで大戦が行われてどれだけの時間が経ったのかもわからないが、観光資源としてもう限界が来ていると感じさせるほどの時間が経っているのであろう。


 故に気まぐれで銅貨一枚をドブに捨てる物好きがたまに現れる程度で、それ以上は見込めないのだろう。


 斬れぬものはなく、血に濡れず、刃こぼれもしない。

 刀剣としては極上なのかもしれないが、ニーアが言っていたようなスキルを有する勇者達からすれば、ただのお飾りと言えよう。


 メロベキアがこの剣を重要視しない理由をニーアから聞いていたが、なるほどチートスキル持ちの勇者からすれば、ただそれだけの剣では魅力がないのは納得がいく話だとサトルは思った。


「まずは私とマリーが挑戦するわ。その後にサトルの番ね。もし抜けそうなら私を見て頂戴。それを合図に私が兵士を無力化するわ」


 サトルに耳打ちするニーア。


「その時はなるべく兵士と観光客の注意を引いくような演技をして頂戴ね」


 そう言って、ニーアはサトルに銅貨を握らせ、聖剣の元へと歩んでいった。



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