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第44話


 黒ローブの中でも一番小柄な者が前に出て、サトルの名を呼んだ。女性の声だ。


「まさか……」


 聞き覚えのある声。彼女は間違いない。メロベキア王国に潜入し、召喚された勇者の監視及び暗殺を命じられていた――


 彼女はゆっくりとその素顔をさらけ出す。


「ニーア! 生きてたのか!」


 王国脱出の際、サトルと共に増水した川に流されたニーア・バーレであった。


「心外ね。貴方みたいな軟弱者が生きてるなら生きてるわよ」

「ははは、そうか」


 安堵。この世界に来てから全くと言って感じなかったものだ。彼女は絶対的なサトルの味方ではない。ニーアにとって、引いては彼女の国とってサトルがキーマンであるだけの事。


 だが、曲がりなりにもだた処刑されるのを待つだけのサトルを救ったのも事実である。


「王国に潜らせてた密偵から貴方を探しているっていう情報を聞いてね。保護しに来たのよ」


 元々牢に閉じ込められていたサトルを、わざわざ危険を冒して外に連れ出したのはニーアの国でサトルを保護するためである。


 勿論、サトルを助けるためではない。あくまでメロベキア王国に次の勇者召喚をさせないためである。


「さぁ行きましょうサトル。今はこれだけの兵だけど、気付かれたら厄介だわ」


 手を差し伸べ、こちらへ誘うニーア。そこに――


「ちょっと待って! 大丈夫なのサトル? この人たちは信用できるの?」


 そこに割って入ったのはマリーだ。ニーアに関してはある程度彼女には話してある、窮地を救ってくれた恩人だとも。


「でもマリー……ここを出るなら今がチャンスだ。だから、君も一緒に――」

「こっちこそちょっと待ってもらえる? サトル、私達が来たのは貴方を保護しに来たのよ。そこの子とどんな関係かわからないけど、わざわざメロベキアの人間を連れて行くつもりはない」


 ニーアの言い分ももっともだだが……


「それは困る! 俺は彼女にも助けてもらった。それにもうマリーだって後には退けない!」


 サトルの捜索に来た王国騎士をすでに亡き者としてしまっている。マリーをここに残せばどんな仕打ちが待っているかわからない。


「だから……頼む! もしも……マリーを連れて行かないなら……お、俺は!」

「わかったわ」

「え、いんですか?」


 黒ローブの中の一人がニーアに言う。彼女の決断にかなり困惑している様子だ。


「別に一人が二人になったくらいでどうってことないでしょ。まぁ、ちょっとでも変な素振りをしたら殺すだけよ」


 そう言ってサトルを見るニーアの視線は本気であると分からされるには十分であった。

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