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第37話


 王国騎士の首へ刺さったのは使い古された刃物。多目的に使われるナイフであった。それは長い棒に括り付けら、簡易的な槍となっていた。


「あ、ああ……」


 言葉にならない呻きを上げる騎士。刺さった槍の穂替わりのナイフが勢いよく引き抜かれ、鮮血が舞い上がる。そして柄部分の棒で組み敷かれた。


 地面に伏した騎士の頭部に穂が刺さる。


 幾度かビクビクと痙攣した騎士は、そこら一帯に血の池を作りつつ、絶命した。


「大丈夫⁉」


 呆然としているサトルに声を掛けてきたのはマリーである。そして、簡易的な槍を持っているのも彼女であった。


 つまり、王国騎士の首を切り裂き、頭への一撃で更なるトドメを刺したのはマリーであった。


「え、えっと……」


 死が目の前に迫っていたこと、目の前で人が死んだこと、自分とあまり年が変わらない少女が躊躇も容赦もなく殺人を成したこと。


 意識がぐるぐると回り遠のいていくような感覚であったが、何とかサトルは持ち直した。今はそんな状況ではない。


 今は目の前の危機が去ったと言うだけで、何も問題は解決していないのだから。

 今すべきことは……


「し、死にたくなければ大人しくしろ!」


 目の前にいるホランドの処遇である。最低でも、拘束しておく必要はあるだろう。


「お、俺は何も悪く――」

「大声を上げたり、逃げる素振りを見せたら殺すわ」


 声を荒げようとしているホランドに、低くうなるようなマリーの言葉が制す。彼女の言葉はただの脅しではなく、ただこれからの事実を言っているだけのような冷淡さを持っていた。


「ヒィ!」


 小さな悲鳴をあげ、しまったと言う風にホランドは自分の口を両手で覆った。先程のマリーに気圧され、悲鳴の一つでも殺されると恐れたのだろう。


 横で聞いているだけのサトルでもわかる。


 悲鳴をあげていたなら、何の躊躇いもなくマリーはホランドの首にその槍の切っ先を突き立てていただろう。


「大人しくしてれば殺しはしないわ。両手を上げてこちらに来なさい」


 抵抗も逃走もできないと観念し、彼は大人しくマリーの言うことを聞き両手を上げ、少しづつこちらに歩み寄った。



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