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第2話


「如何でしょうか勇者様」


 言葉使いは敬意を示しているのに、言葉には勇者を敬うと言うような気持ちは全く感じられなかった。家電や服などを見ているとき、ただただ利益のためににじり寄って来て、永遠とセールストークを繰り広げる店員、サトルはそんな印象を彼らに抱いた。


「ええ、随分と良くなりました」


 召喚直後と比べると随分とマシになったとは言え、まだ痛む頭を手で抑えながら答える。こちらも今の心境を隠す必要はない。言葉だけで見ると丁寧に返したが、言い方自体は攻撃的だ。奴らを見る目線も合わせると、とても反抗的に見えることだろう。


 こちらは圧倒的な被害者なのだ。退屈ではあるが、嫌いではなかった日常からこんな世界に引きずり込まれ、勇者などと祀り上げられるのだから。


 サトルも決してこんな状況を夢見たことがないと言えば嘘になる。異世界へと転生や転移をし、強力な能力を駆使して、現実世界では到底手にすることが出来ない名誉や財産などを築く。


 そう言った物語を描いた娯楽は星の数ほど存在し、サトルもそんなサクセスストーリー、シンデレラストーリーに憧れを抱いていた一人と言ってもいい。


 しかしサトルの目の前で広がる現実はそんな夢とは少し違う。もしも異世界ガチャがあるのならば、ハズレに分類される物語だろう。


「ではこちらへ、我らが国王陛下が貴方様を心よりお待ちしております」


 立派な髭を蓄えた老人がしゃがれた声でサトルを案内する。


(わたくし)は国王様にお仕えする相談役、サラディと申します。以後お見知りおきを」


 相談役……政治について国王と対等な地位で助言を行う職らしい。基本的には前王がこのポストに収まるのが、この国メロベキアの常である。


 ご丁寧にこんなことまで頭に叩き込まれているようだ。


 初めての知識なのに、まるで思い出したかのような妙な感覚にも慣れてはきたが、気持ち悪いことには違いない。なるほど、召喚酔いとはよく言ったものだと内心で自嘲するサトル。


 サラディ相談役に連れられ、メロベキア王城の内部を進んでいく。城内の内装は豪華絢爛に彩られた華々しいものではなく、石造りの古城と言った趣で、装飾の類はあまり見られない。


 と言った印象を抱いていたのだが、進めば進む程に高価そうな調度品やキラキラとした装飾が明らかに増えてきたと感じる。恐らく召喚が行われていた場所はあまり人の出入りが無い場所なのだろう。


 特に外部の人間などには立ち入りを禁じているのかもしれない。

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