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第12話


 まさか異世界初めての対戦相手が一国の騎士団長とは……


 それも、よくある漫画の細身で優男などではなく、不動の山を連想させる筋骨隆々の大男と来たものだ。


 サトルと同じサイズの剣を携えているのだろうが、アラダインが持つとショートソードにしか見えない。


 サトルが知っている作品群では、中肉中背の主人公が如何にも強そうな外見の相手を、チートスキルで軽々と捻って脚光を浴びるのがパターンだが……


「本当にそんな美味しい話があるのかよ……」


 巨大な騎士団長を目の前に、震える手足を抑え込むのがやっとの自分が、彼を打倒しうるとは到底思えない。


「先程紹介に預かりました、メロベキア王国騎士団団長、アラダイン・フォン・セドキアと申します。本日はよろしくお願いします」


 荒々しそうな外見とは正反対に、アラダインは丁寧な口調でサトルに自己紹介をし、軽々と林檎を握りつぶしそうな右手を差し出した。


「あ、はい……勇者? として召喚された仲城(なかじょう) (さとる)です」


 彼の、幾千幾万と剣を振るって鍛え抜かれた手とサトルの手が重なる。


 十七歳と言えば、身体だけは十分に大人と言ってもいい程の成長を遂げているはずなのだが……まるで赤子と大人のそれである。


 硬く、無骨な手に優しく包まれる握手を交わし、アラダインの動きにならって後ろに下がった。


「本日は模擬戦ではありますが、両者のプライドを掲げた神聖な一戦としてください!」


 昨日までただの平凡な高校生であった自分に大したプライドなどない。そんな事をぼんやり考えている間に、騎士団長の見様見真似で剣を構え――


「始め!」


 試合が始まった。


――カァァァン!


 試合開始直後の事である。闘技場に響く音。


「え……」


 何があったのか全く分からない。先程まで三メートルは離れていたと思っていたアラダインが目の前に存在している。


 そして、手が鈍い痛みと痺れを脳に伝えてくる。


 攻撃をされたと気が付いた時にはもうすでに木剣はサトルの手の中にはなかった。ドサリと闘技場の土床に落ちる木剣。


 まるで開始のゴングのようにサトルに聞こえた音は……まさかの試合終了の音であった。


「勇者様、貴方の実力はこんなものでは無い筈です。さぁ剣を拾ってください」


 喉元に剣を突きつけながら騎士団長は優しくサトルに言った。


「え、ああ……はい」


 何が起きたかも処理しきれないが、ただただ彼の言われた通りにしか出来なかった。



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