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第105話


 城を駆けのぼり、王を探すサトル一行。城の中はもぬけの殻と言ってもいい程であり、一部の使用人達が仕事に従事しているだけであった。


 元々メイドのメレニアとしてこの城に潜りこんでいたニーアは使用人連中には顏がきく。見かけた使用人から王と宰相の居場所を聞きながら、城を出るように促した。


「なぁニーア、本当にまだあいつらは王室にいるのか?」


 彼らの居場所を聞いたとき、サトルは少し驚いた。サロメが先に王都に帰って来ていたならば戦争の行く末について奴らは知っているだろう。


 それがなぜ今だ自室にいるのかが分からなかった。


「嘘とかじゃないはずよ。奴らはそう言う奴らってこと」


 どういうことだと、ニーアに聞き返そうとサトルが思った時、ニーアが一つの部屋の前で止まった。


「ここか?」


 凝った装飾に、素人目でも無駄だと思うほどに金をあしらった扉。豪奢を通り越して陳腐な安物じみた重厚な扉である。


 扉を開くと……中は強盗が暴れまわったかのような有様であった。


「まだかアブラハム!」

「お、お父様! やはり使用人を呼んで運ばせましょう! せっかく手に入れた調度品が……」

「馬鹿者! そんな大人数で移動すればすぐに見つかる! そんなものは捨て置け。すぐに再起して元通りの暮らしを手にすればいいだけの話だ」


 サトルはその光景をみて、ニーアの言った「奴らはそう言う奴ら」の言葉の意味を理解した。そもしも、あそこでサロメが立ちふさがったのもおかしな話である。


 サロメ達少数の護衛を付けてさっさと王都をでればよかったものの、王達は卑劣な作戦と共にサロメと新兵たちをサトル達の元にやった。


 それは、なるべく多くの財産を持って逃げるため。その時間稼ぎのためにだ。


 サトルはバカバカしさを通りこして、彼らに憐憫の情すら込み上げてきた。好き勝手に異世界から勇者を召喚し、その力を持って侵略大国として強大で巨大な国家たるメロベキア。


 そんな国を統べる王の姿が、宰相の姿がこのありさまなのだ。



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