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第103話


 ウェポンマスターはその武器に宿った経験を呼び起こすだけではない。その武器を振るった人間の心も再現する。


 それは元からあったスキルの一部なのか、スキルを使う中で練度が上がった故のことなのかはわからない。だが、先の戦争にはそれに助けられた部分があるのだろう。


 聖剣エクスカリバーに宿っていた、歴代勇者の心は……死んでいた。


 洗脳によってただ国王の命令を忠実にこなす戦奴(せんど)された名ばかりの勇者。武力を行使する道具に感情はただただ邪魔なだけだ。


 今までの勇者がサトルと同じ世界から召喚された人々であるなら、彼らの価値観もサトルが持っている価値観と大きな違いはないだろう。


 そんな人々が、人を殺すと言うのがどんな意味を持つのか……それも殺すのは一人や二人ではない。


 チート級スキルを駆使した虐殺……数えるのも不可能と言える。一方的に敵だけで屍山血河を作り出す。一般人の精神でそんなことができるはずがない。


 感情を殺す徹底的な洗脳は勇者達、国王にとっての戦争道具の寿命を大きく縮めたに違いない。


 だが、そんな勇者達の無い心のおかげでサトルの心はまだ生きている。殺人に対する罪悪感を極限にまで薄めている。


 打倒メロベキア王国と言う大義名分で心を保てている。


 だからと言って、今相手をしているのは一般市民だ。しかも自らの意思ではないく、自分の命のみならず、家族の命まで人質に取られ、やらざるを得ない状況を他者によって作り出されている。


 彼らに罪はない。


 さすがにニーアやマリーからも、仕方ないとはいえサトルが凶行にでたと思ったかもしれない。だが……

 

「パナケイア!」


 サトルは癒しのスキルを発動。サトルによって瀕死の重症を負った者、事切れて間もない者が常軌を逸した回復により全快した。


 残ったのはザックリと裂かれた衣服だけであった。

 国民達の反応は様々でだ。奇跡を目の当たりにして驚きに動けぬ者、痛みの残滓に未だ苦しむ者、サトルへの敵意の眼差しを信奉へと変化させる者。


 サトルはそんな国民達の傍を抜けて、城門前に居座るサロメへと迫る。


 勇者殺しの剣に宿るアラダインの思念と聖剣に宿る歴代勇者達の(うつろ)な思念。それに埋もれることなく、意識の表層へと浮き上がってきた殺意。仲城覚(なかじょうさとる)と言う個人が、これまで歩んだ人生で初めて発露する本物の殺意を纏って。


 サロメの従える弓兵達が発射準備を整える。しかし、それを確認してサトルも次弾のグングニールを展開した。



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