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第1話


 いつもの時間に見る、いつもの風景、いつもの人々。何も変わらない平凡な日々。大した刺激もなく、ただただ退屈に過ぎる日常。そんな日々を仲城覚(なかじょうさとる)は漠然と生きていた。


 今日も古臭いと感じる黒い学ランに身を包み、二年生に上がったばかりの高校へといつもの通学路を歩んでいた。


 そう、先程まで……


「ξЖ(おお)! Θ※Й¶ж(召喚成功だ)!」


 通学の最中、(まばゆ)い光に包まれたかと思えば、薄暗い空間で時代錯誤な恰好をしたおっさん達に囲まれていた。しかし、何を言っているの――


「痛ッ⁉」


 頭に痛みが走る。まるで何かが頭に叩き込まれたような感覚だ。そして、サトルはこの痛みで、目の前の光景が白昼夢などではないと思い至った。


「大丈夫ですか? 勇者様」

「勇者? 誰が?」


 うん? 先程まで相手が何を話しているのか全く分からなかったのにも関わらず、今は理解できる。


「痛ッ!」


 また頭が痛む。


「勇者……異世界より召喚され、魔王討伐の責務を負う者」


 今初めて知ったことを思い出した。そんな矛盾を孕んだ不思議な感覚だ。まるで頭に知識を差し込まれるようだ。


「どうやら召喚酔いで知識が混乱しているようだが、問題なさそうだ」

「おお、そうか。では勇者様、早速で悪いのですが――」

「待ってくれ……少し黙ってくれ」


 奴ら、サトルを召喚した者達が何か話す度、頭に痛みが襲ってくる。どうやら召喚した際にこの世界の常識や言葉、文化などを直接脳にインストールしているらしい。だが、サトルは召喚酔いによって完全ではないようだ。


 今の状況は概ね頭で理解出来たサトルだが、まだ心が状況に追いついていない。王国お抱えの魔導士連中を睨み付け、この理不尽極まりない所業について怒りが湧いてくる。


 人の日常をぶっ壊して何が勇者だ。魔王討伐だ。そんなサトルを置いて話を進めようとする奴らの強引さにも頭に来る。


 そんな連中らはサトルが急に怒りの声を上げた事で、機嫌を損ねたかのような渋面(じゅうめん)を浮かべている。それに対してまた新しい怒りが湧いてくるサトル。


 最早怒りのスパイラル状態だ。


 だがサトルは、次々と飛び込んでくるこの世界の知識で文字通り頭が一杯一杯だ。こんな急激な不可を脳に与えて、万が一体に何しかしらの不具合が出たらどうしてくれようか……


 そんなこと考えられる程度には徐々に痛みも治まってきた。



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