あ?!という間に王城前かよ・・・。
「「・・・好き・・・」」
「・・・・」
「カズサはおじさんのことがすき」
「なっ!おじっ?!」
アズールがミアにジ~ッと見上げられながら、おじさんって言われてんのが何かウケる。ヨハネストとアベルは二人して武器の手入れを始めたが、それは今やる事か?ヒューは無言で俺にくっ付いてきたから、とりあえず撫でておく。
「混迷してんな」
ガイウスが何か言っているが、聞こえねぇから無視だ。
「・・・コホンッ・・・カズサ様、我々は国王陛下より勅命を受け、お迎えに上がりました。どうか馬車にお乗り下さい。お連れの方々も、どうぞご一緒に」
場の空気を変える様に咳払いをしたアズールが、王室の紋章が光る馬車の扉を開け、乗る様に俺達を促した。正直、乗りたくねぇわ。
「王都まで馬車で2日くらいか。魔法で飛んだ方が早ぇんだけど」
「何をおっしゃいますか?!どうか我らに王都帰還の護衛をお任せ下さい!!」
跪いて俺の手を掴んだまま、懇願するヨハネストが何か暑苦しい。困り顔のアズールと同じ顔で、数名の騎士達が俺をジッと見てくるのが・・・何つうか、同情心を煽ってくる感じだな。お前ら、わざとやってんだろうが?
「はぁ・・・チビも居るから、仕方無ぇか・・・おら、お前らも乗れ」
ガイウスを先頭にアベルとミアが馬車に乗り込んだところで、騎士達がヒューの顔を見てギョッとした。
「カ・・・っカズサ様が、二人?!」
「いや?!よく見ると・・・ちょっと違う・・・か?!」
騎士達がわらわらと集まって来て、俺とヒューを見比べてんだが、お前ら近ぇわ。アズールは若干、青い顔で固まっているが大丈夫か?ヨハネストは「大好きなカズサ様が2倍・・・いや、それは浮気だ!」とよくわかんねぇ呟きを漏らしながら、頭を抱えてんだが・・・まぁ、ほっとくか。
「こいつは、あ~・・・俺の息子だ」
「「「「「はああああ?!!」」」」」
「煩ぇ・・・」
騎士共が全員で叫んだもんだから、耳が痛ぇわ。俺は片耳を塞ぎながら、ヒューの肩を抱き寄せた。
「だだだ・・・だれ・・・結婚?・・・どこの馬の骨がカズサ様を?!!」
「落ち着け!」
「っ!!」
ガクガクと震えたヨハネストが俺にしがみ付いてきたんだが、間髪入れずにアズールに(強めに)叩かれて地に倒れ伏した。容赦ないな・・・面白ぇけど。
「こいつって、お前の上司じゃ無かったっけ?」
「上司でもありますが、古くからの友人でもありますので問題ありません。さ、どうぞ」
地面で呻いているヨハネストを跨いだアズールに手を引かれ、エスコートされるように俺は馬車に乗せられた。ヒューは俺が空いてる方の手で引っ張ってやった。
「手慣れてんな」
「カズサ、おひめさまみたい」
「「・・・・・・・・」」
ガイウスがニヤッと笑って、ミアは何か喜んでんのか?無言のアベルとヒューが、ジトッとアズールを睨むのは何でよ?
扉が閉められて直ぐに、馬車は王都に向けて慌ただしく走り出した。並走する騎馬に守られながら、道中に現れた魔物達たちに足止めされることも無く(おい魔物、もっと頑張れよ)2日後の朝には王都に着いてしまったわ。
「はぁ~・・・面倒臭ぇ。着いて直ぐに王城に来いってか」
外門を抜け王都に入ってから、馬車から降ろしてくれるよう頼んだんだが、馬車は速度を落とさずに真っ直ぐ城へ向かっちまった。
「諦めろ」
ガイウスが俺の肩を叩いた。諦めたくねぇわ。王城の前で停まった馬車の窓から嫌なもんが見えて、俺は顔を顰めた。
「魔法使いカズサ様、視察からの帰還、大変お疲れ様でございました」
にこやかな顔でずらりと並んだ大臣たちに囲まれて、俺とガイウスは有無を言わさず王の御前にと連行された。
「あ~・・・あいつらは・・・」
「お連れの皆様には別室にてお休み頂きますので、ご心配なさらず」
「あ~・・・俺、旅の帰りで汚れてんだけど?」
「御前に向かう前に、清めさせて頂きます」
「あ~・・・自分でやるから、いいすわ」
俺の抵抗空しく、前後両側をぐるりと大臣のおっさん達に囲まれて、懸念事項の問答もやんわりとあしらわれながら、あっという間に謁見の間の扉前に着いちまった。
「諦めろ」
「もう諦めたわ」
ガイウスに「仕方が無い奴だ」とでも言いたげにポンポンと肩を叩かれて、ムッときたのでピシャッと叩いておく。痛がるガイウスを無視して、俺は衛兵に声を掛け、扉を開けて貰った・・・。
気が付くと、間がだいぶ空いてしまっていて、ごめんなさい。
ちょっと話を進めて、王城まで到着させました^^;
扉の向こうには・・・。
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