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目覚める・・・俺?

「よし、だいたい良いか?」

俺は木製の人形に刻んだ術式の最終確認をした。木工房の店主の力作で、ザランで手に入る中で一番良い木材を使ったらしい。俺の身長と、ほぼ同じ大きさの人形だ。

「一番良い木材って、魔木だよな。強度と、しなやかさが有るのが良いわ」

人形の全体を走らせた魔導回路は、人間の血管の代わりだ。竜血樹の赤い樹液を使って描き上げた。疑似魂には、俺の手持ちの中で一番良い魔石を心臓に見立てて、妖精の粉で定着させた。

この妖精の粉は、俺の手料理で陥落させたクレイアが渋々分けてくれた貴重品だ。大事に使ったぞ。

「各部位の魔法陣、よし。後は、疑似魂に俺の魔力を込めるだけだな」


俺は人形の心臓に当たる場所に埋め込んだ魔石に、魔力を流し込んだ。完全に魔力が満たされると、循環の魔法陣が発動して、魔導回路の中を魔力が血液の様にゆっくりと流れていく。

「四肢を通って指先まで、漏れなく魔力が流れているな。よしよし」

魔力が脳まで行き渡れば、指令系の魔法陣が動き出す。無機質過ぎても不気味だろうから、風魔法で空気振動を起こす術式を刻んでおいた。これで息遣いと鼓動音が聞こえるから、生っぽさが出るだろう。

「起きろ・・・駄目か?そうだ、爺さんの所で買った本に書いてあった・・・“反魂の術”を試してみるか」

ザランの街の裏門で、古書店を開いていた爺さんから買った本“古代魔法解読書”によると、古代文字ユル(YR)を血と魔法で焼き付けると書いてあるな。ユル(YR)の文字の力は死と再生、転生。


「血は竜血樹の赤い樹液で良いな。魔石に直接焼き付けても大丈夫か・・・?」

ここまできて、時間と労力を詰め込んだ人形が壊れたら辛いが、魔石が割れるくらいで収まれば御の字だな。新しい魔法を試す時は度胸が必要だ。

「おし、上手く描けた。定着と魔力を流し込んで・・・おおっ?!」

魔石に古代文字を刻んで魔力を流し込んだ途端に、魔石にがっつり魔力を吸い出されたぞ?!

「うあ・・・やべぇ・・・」

俺の内在魔力のほとんどを持っていかれて、脳が強制的な休息を求めているわ。つまりは眠い・・・。人形の横に寝転んだ俺の視界に、のそのそと起き上がる人形が映った。木製の眼球がキュルキュルと動いて、俺をぼんやりと見つめている様だな・・・。


「起きたのか・・・取り敢えず、これを読んでおけ・・・名前・・・あと・・・」

俺は最後の力を振り絞って、鞄から何冊かの教育本を取り出した。幼児が使う文字の本から始まって、魔法の基礎本・・・一般的なマナー本等だ。

これでも読んで、俺が寝ている間に賢くなっておけ・・・俺は意識を手放して、回復に走ることにした・・・。



コココン・・・コココン・・・煩ぇ・・・木に嘴で穴を開ける魔鳥の音か・・・?・・・

「・・・・」「・・・・?!!」「・・・・」「????!!!」誰かが言い争う声・・・煩ぇ・・・な・・・っ

「・・・って、言ってんだろうがああ!!・・・ああん?」

体に巻き着く布を押しやった俺は、起き上がって叫んだ。布・・・?宿屋の毛布か・・・ああ、頭が痛ぇし、体がだるくて重てぇわ・・・。

「ちょっ!カズサ、寝ないで起きて!」

ドアの方から、焦ったようなアベルの声が聞こえた。煩ぇわ・・・声がデカいわ・・・。

「・・・煩ぇわ・・・声がデカいわ・・・」

「お前が言うな!」

「カズサ2ごう・・・」

淡々とした俺の声に・・・煩ぇアベルの怒号。それとミアの「俺にゴー」って意味がわからん。


「ん?俺の声?」

違和感を覚えて、俺は顔をドアの方に向けた。ああ?・・・ドアの前には素っ裸の俺と、アベルとミアが居た。意味が分からんわ・・・。


間が空いてしまって、ごめんなさいの更新です^^;

材料が揃って、やっと人形実験が出来てカズサが喜ぶ回のはずが・・・行きついていませんね。

寝起きの悪いカズサが完全に目覚めたら、喜ぶはず・・・です!

ブックマーク、評価、嬉しいです!間が空いても、読んでくれてありがとうございます!^^

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