表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

62/89

オオタコを獲りに行こう。

腹も心も満たされて食後の茶を啜っていると、双子の筋肉がやって来た。はぁ~面倒臭ぇが、報酬の為に頑張るか。

「「迎えに来たぜ!さっそく行くか?」」

「ああ」

宿屋から漁港までは歩いて直ぐだ。双子の筋肉の船は、小ぶりだが何か頑丈そうだな。

「「ところで、あんたの名前は何ていうんだ?」」

「俺はカズサだ」

「良い名前だな!俺はグリスだ」

「俺はグラスだ、よろしくな!」

「・・・おう」


残念だが顔の見分けがつかねぇから、名前を憶えても迂闊に呼べねぇわ。双子の筋肉の片割れが船を出して、もう片割れが俺に目隠しをした。秘密の漁場に行くからな、仕方ねぇか。

暫く船に揺られて進むと、波の揺れが強くなった気がした。そろそろ目的地に着くのか?

「「もう直ぐ漁場につくぞ!海が荒れてるから、今夜もオオダコが出てるぞ」」

「お~了解。もう目隠し取って良いか?」

「いいぞ。俺が取ってやる」

「船はギリギリまで近づけるか?カズサは細っこいが・・・剣士なのか?」

「誰がガリガリだ。船はオオダコが見えるとこまでで良いぞ」

「「よしきた!・・・無理はしなくて良いからな?」」


双子の筋肉の期待度の低さよ。船が停泊した先に、闇夜よりも黒い山が海面から出ているのが見えた。あれがオオタコか。魔物図鑑でしか見た事ないが・・・デカいな。

「オオタコは食えるのか?」

「「普通のタコは食えるが、ありゃ100年は生きてるからな・・・美味いかはわからん」」

どうやらオオタコは100年周期で、この辺の海に現れるらしい。普通のタコが魔物化したのか・・・まぁ、どうでも良いか。

じゃあ、サクッといきますか。先ずは正確なデカさが見たいから、光魔法でオオタコの周囲を照らす(ついでに目潰し。)


「光あれ!light!デカいな・・・掬い上げろ!Sie schninnen!」

「ギイギャアアアアアア!!!」

光魔法を嫌がって暴れるオオダコを、土魔法で海中から掬い上げた。吸盤と棘がついた触腕を振り回して、土の壁を叩くが壊れるほど軟じゃねぇ。牙が生えた口から、耳を劈く悲鳴を上げるのを止めろや。

「氷の楔よ穿て!ice Wedge!」

鎖のついた氷の楔を穿てば、オオダコは直ぐに動かなくなった。浮遊魔法を掛けて、このまま港まで運べば良いな。

「終わったぞ」


「「いやいやいやいや!!!何だぁ?!今のは!!」」

「ああ?何って、何だよ?」

双子の筋肉を振り返ったら、間抜け面でポカンと大口を開けてやがった。直ぐに再起動して詰め寄って来たがな。

「ピカッ!って光って、ドーンって持ち上がっただろ?!」

「その後、グサ~ッ!って刺さって、今は浮いてるんだが?!」

「「俺達は夢でも見てんのか?!」」

「煩ぇ・・・。両側から叫ぶんじゃねぇ!魔法くらいで何だっつうんだよ」

「「魔法!!あれが魔法かあ!!すげぇもん見たわ!!」」


目を喜色で輝かせた双子の筋肉が、俺を両側から掴んで離さねぇ・・・良いから、船を出せ。港に戻れ。


「俺は早く戻って、本が読みてぇ。このまま騒いでんなら、このオオタコをこの船にぶつけるが良いか?」

「待て!今、出すから!!」

「悪魔か!ちょっと待て!」

双子の筋肉が慌てて船を出した。町に戻るまで目隠しをするか聞いたんだが、魔法でオオタコを持ち上げてるから、そのままで良いってよ。別に目隠しされたくらいで、魔法をミスったりしないがな。

町に戻ってギルドまでオオタコを運んだんだが、宙に浮くオオタコを見て腰を抜かす奴が続出した。この町の住人は魔法を見た事が無い奴が多いみたいだな。


「「「「ありがとうございました!これで漁が再開できます!」」」」

落ち着きのないギルド職員をはじめ、ギルドマスターまで出てきて礼を言われた。大袈裟すぎるわ。

「成功報酬は如何なさいますか?」

成功報酬のもの凄く美味い紅魚は、食べ放題でも良いし、生の状態で貰う事もできるそうだ。基本的に市場に出さないで、町の住人達だけで楽しむ季節のご馳走なんだとか。

「そうだな・・・食える分だけ焼いてもらって、生の紅魚も幾つか持ち帰りたいんだが、良いか?」

「大丈夫です!では、そのように手配しておきますね!」

「「カズサ、ありがとうな!俺達が美味い紅魚を沢山獲って来るからな!」」

「おう、楽しみにしてるわ」


双子の筋肉とギルド職員に手を振って、俺は宿に帰った。紅魚の食い放題は、明日の昼時の約束だ。今日は本を3冊読んだら、明日に備えて寝るとしよう・・・。

オオタコの炭だけ、ちょこっと貰いました。いつか自作のインクの材料になるのかな?

タコは港町ではたまに売られていますが、ミドラガルドス国では見かけません。

明日は更新できるかな・・・?明後日かもしれません^^;

ブックマーク、評価、読んで下さってありがとうございます!励みになります^^

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ