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茶と本と香辛料・・・。

店主から聞いた店はバザールにあるって言ってたな。バザールってのは南方特有の良い方で、店舗を持たない街頭市場の事らしい。

活気のある呼び声が聞こえる方に歩いて行くと、扱ってる商品が描かれた、派手な色の旗が並んだ市場を見つけた。

「・・・干し肉・・・穀物・・・あれか・・・」

調味料を扱う店が幾つか集まっている所に、勧められた店はあった。赤い幟が目立つ「狐屋」・・・ニコニコと笑って、こっちを見ている店主には見覚えがあった。


「お前の店かよ」

「いらっしゃい。お久しぶりネ。まさか南方で会うと思わなかったヨ」

「俺も思わなかったわ。ミドラガルドスに引っ越したんじゃなかったのか?」

猫に紹介されて王都で会ったのは、まだ記憶に新しいわ。狐は薄く笑って、白っぽい液体の入ったカップを渡してきた。

「何だ?」

「茶にミルクルと香辛料を入れた飲み物ヨ。試飲だから無料ネ」

タダより高いものは無ぇが、俺は遠慮なく頂く派だ。受け取ったカップの匂いを嗅いでから、一口啜ってみた。


「・・・美味いわ。レシピあるか?」

パンチの利いたコクのある茶にミルクルの甘さ、香辛料が丁度いい具合にピリッとしてて美味い。まんまと狐に乗せられたような気もするが、俺はレシピと必要な茶と香辛料を少し多めに購入した。

「カズサさんハ、これからの予定は決めてあるんですカ?」

「ん?今日この街に着いたばかりだからな、宿を探す予定だが?」

「それなら私のお勧めの宿が良いヨ。図書館の直ぐ近くネ。ご飯も美味しいシ、連泊なら安くなるヨ」

良い情報を持ってるじゃねぇか。簡単な地図を貰い、俺は狐の勧めた宿に行ってみる事にした。


ザランの街は中央都市とは言っても、王都よりは小せぇみたいだな。街のメイン通りまでそんなに遠く無かったわ。この通りの十字路に図書館があって、その裏通りに勧められた宿があった。

目の前に図書館があるのに・・・時刻はもう直ぐ夕方だ。今から行っても、閉館時間まで少ししか時間が無ぇ。

「今日は大人しく宿に行くか。明日の朝から図書館に籠れば良いしな」

俺は宿に行き部屋を取って、食堂で茶とケイクを買った。借りた部屋のサイドテーブルに置いたら準備完了だ。後は領主の娘に貰った本を、読むだけだわ。


「・・・何だこりゃ・・・」

冒頭から理解しがたいシチュエーションで話が進んでいきやがる・・・とある国の、貴族が通う寄宿学校が舞台の話だ。そこまでは良い。

金髪のやけにキラキラした王子と、黒髪の魔法が得意な少年が最悪な出会いから始まり、様々な事件を共に解決していく過程で友情を深めていく話だ。そこまでは良い・・・読める。

「仲良くなった途端に、王子が魔法使いを押し倒すのが意味不明だよな」

せっかく仲良くなった相手に毎日花を贈られたり、隙あらば押し倒されたり・・・後半になってくると閉じ込められて、鎖に繋がれてんのは何でなんだ?

「こんな友達は要らねぇ」


読むのに凄く疲れる本だ。一度、栞を挟んで横に置いておく。俺は茶を啜って、ケイクを頬張った。ニンジンと香辛料が入ったケイクの上には、溶かしたカードが掛かっていて美味い。茶を啜って息を吐いた。

「続きを読むか・・・」

キラキラ王子がどっかに消えて、やたらと魔法使いを拘束したり、束縛したりする嫉妬の塊のような奴になったな。何で落としたペンを拾ってもらっただけで、お仕置になんだよ?

辺境伯の娘は俺に何をお勧めするつもりで、この本を渡してきたんだ?読み終わった後もわかんねぇわ・・・。


“秘密の花園~きみに薔薇を捧ぐ~”タイトルで分かる通り、やたらと薔薇が咲き乱れる描写が多かった。作者も最近増えてきたが、まだまだ数が少ない女性作家だ。

名前が辺境伯の娘と似ているのは、偶然だろうな・・・?。


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