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姫と呼ばないで・・・。

騒がしい夜が明けた翌朝、俺の作った朝飯を食った騎士共が、俺を囲んで膝を突いているんだが・・・何だ?

「「お前たち・・・良い度胸だな。誰のものに手を出しているのか・・・わかっているのか?」」

カエサルとヨハネストが悪魔見てぇな笑顔で、数人の騎士の首根っこを掴んで連れて行った。朝稽古か?騎士は朝から元気だな。

「カズサ・・・この人たらしめ。」

「ああ、また被害者が出ましたか・・・無事に神の元へ向かえるように、祈りましょう」

食後の茶を飲みながら、ガイウスとユリウスが天に向かって祈ってるわ。信仰心がお強いこって。


「カズサ様には、もう少しその・・・行動に気を配って頂きたいです」

眉間を揉みながら、胃を押さえたアズールがぼやいている。

「どうした、調子が悪そうだな?おら、口開けろ」

アズールの顎を掴んで上を向かせると、俺お手製の回復薬を流し込んだ。即効性があるから、すぐに良くなるだろ。

「・・・ごくん。そ、そういうとこですよ!あ、止めて下さい・・・俺の口元を優しく拭かないで下さい?!」

俺の手首を掴んで、慌ててキョロキョロと周囲を見回したアズールが、ほっと息を吐いた。

「そもそも・・・」

「「アズール?」」

背後から両肩を掴まれたアズールが、カエサルとヨハネストに引きずられて行った。何だかんだで、仲が良いのな?あいつら。

「「はぁ・・・また一つ屍が・・・」」

ガイウスとユリウスが、また天に向かって祈ってるわ。流行ってんのか?


野宿の始末をして、森の中を突っ切て行く。道は整備されているが、魔物は普通に出るわな。

「6本足オオカミの群れだ!構え!」

ヨハネストが鋭い声を出した。真面目な顔もできんだな?剣を抜いた騎士共が、俺とユリウスを囲うように展開した。

「安心して下さい!姫達は俺達が守ります!」

「「「「「うおおお!!!」」」」」

何か知らんが、やる気を出した騎士共が、走り寄ってきた6本足オオカミを切り捨てていく。

「誰が姫だよ・・・ふざけやがって」

「私まで姫扱い。完全にとばっちりです・・・ね!」

切り捨てられた6本足オオカミの死骸を、火魔法で焼いていく。血の匂いで他の魔物が寄ってくっからな。珍しく不機嫌な顔をしたユリウスが、馬上から棍棒で魔物を殴り飛ばした。


「騒ぎに他の魔物が寄ってきたぞ!」

「土蜘蛛の赤!上空から小型のドラゴン・・・?!」

お?!珍しい。小型のドラゴンなら・・・研究用に生け捕り・・・まぁ、死骸でも良いな。俺は早足で駆ける馬上から、ドラゴンに向けて魔法を放った。

「貫け!・・・Gehen Sie durch.」

細い鎖がドラゴンを刺し貫いた。そのまま鎖を引けば、息絶えた小型のドラゴンが、俺の手元に飛んでくるってわけだ。死骸を鞄の中に仕舞って、俺は薄く笑った。



「小型とはいえ・・・ドラゴンを一刺しで倒しただと?」

「恐ろしい・・・魔法使い・・・いや、魔法姫だ!」

何で言い直した?俺は姫じゃ無ぇ。・・・戦闘中じゃ無ければ、こいつら全員の頭を叩いてやりたいところだ。

俺の隣で、土蜘蛛の赤を殴り殺してるユリウスは・・・撲殺姫だと。ククッ・・・ウケる。

「最近の騎士は・・・いいえ、やめましょう。全てを許す心こそ・・・神の御心・・・」

そう言いながらも、ユリウスの振るう棍棒の勢いは落ちねぇのな・・・。


森を走り抜け、迫っていた魔物を全て切り捨てた俺達が辿り着いたのは、堅強な石で作られた城塞だった。

「勇者カエサル様、お仲間の皆様、ようこそおいで下さった!」

森と城の間には深い谷があって、その上に掛けられた橋を渡って進んだ。門を抜けた先の城前には、大勢の武装した騎士が並んでいる。

その先頭に立つ巨躯のイケおじ・・・体がムキムキでデカいのに、顔が良い。ロマンスグレーの髪と髭が、女共にモテそうだわ。

「歓迎いたしますぞ!!」

イケおじが両手を広げて豪快に笑うと、背後に控えた騎士たちが恐ろしく揃った動きで、敬礼をした。すげぇな。


細身で長髪のユリウスも、女扱いは腹に据えかねたようですね。

土蜘蛛系の魔物は、馬くらいの大きさと思って下さいね^^

ブックマーク、評価ありがとうございます!読んで下さって嬉しいです^^


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