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武威 3

生体情報確認……


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 ●●●●●●●●●●●●●●●


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致死性有害情報兵器の投影を行います。画面から目を離さないでください



















脳波及びバイタル測定中……


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_ようこそ蝗帛ョョ逅?コ




理事会決裁記録 ■年■月■日

 

【外事緊第93684号】

米国政府及び保全財団による情報開示要求 


決議 不許可


【外事緊第93685号】

保全財団による重大インシデント5340に関する捜査協力提案


決議 不許可


【外事緊第93691号】

ロシア連邦政府によるZA5340追跡協力提案


決議 不許可 ※穏便な文言を以て辞退すること


【外事緊第93697号】

五岳党による対ZA5340共同作戦提案


決議 不許可 ※穏便な文言を以て辞退すること


【渉外緊第538921号】

日本政府超常対応機関による重大インシデント5340対応協力提案


決議 不許可 ※穏便な文言を以て辞退するとともに本件に関する政府の介入は厳に慎むよう伝達のこと


【海緊5340-4327号】

海洋部によるEEZ内超常関連海上封鎖


決議 承認


【情本緊5340-78925号】

駐在要員による空港監視強化


決議 承認 ※支部から人員を抽出し監視体制を最大限強化すること(別添78925による)


【空緊5340-37893号】

管制予備機投入による空域監視強化


決議 承認


【山陰研緊5340-1389号】

神格性事案緊急慰撫作戦


決議 承認 ※特に諏訪及び北海道の神格性事案については万全の態勢をもって臨むこと


【西研緊5340-渉外221号】

皇室による臨時神事協力


決議 承認 ※必要に応じて職員を派遣し、全面的な協力と友好を示すこと


【本調執緊5340-102号】

任務部隊『天逆鉾』編成提案


決議 承認 ※基幹研究室を別紙の通り指定する(別紙102-02)


【情本緊第5340-81340号】

報告書 長支緊5340-133 における追加調査


決議 一部承認 ※情報の精査のみ承認する


【甲信研緊第5340-201号(代)】

試験機材OT-0100の緊急製造及び配備提案


決議 承認 ※生産に関しては重要参考人OS-0162の参加を許可する。また配備に関しては任務部隊『天逆鉾』への集中配備とする


【暗号符丁ε332による緊急報告】


決議 安全を確保した上で追跡継続とする。また、必要に応じて任務部隊『勢子』の増強を許可する



東京都千代田区 環境科学研究機構本部庁舎

臨時隔離区画


「ふう……つかれたぁ……」


「あ、所長お帰りなさい」


「あれ? 皆揃ってるね……僕が最後?」


「無駄話しすぎなんとちゃうか? 九部の秘書科が無駄話のしすぎでドヤされた言うとったで?」


「ほんと? 悪い事しちゃったかなぁ……」


重大インシデントZA-5340の重要参考人はその所属を元に『機構』本部庁舎内の幾つかの臨時隔離区画に押し込まれて事情聴取を受けていた。

甲信研職員及びパーサーの面々には地下42階があてがわれている。


「諏訪先生は……大丈夫なんでしょうか?」


「先程搬送されているのを見かけましたが元気そうでしたよ?」


「良かったぁ……レクター教授みたいにされてたんで心配だったんです」


羽場主務と安曇梓主任研究員の会話を聞きながらも、小笠原研究員は全く別の事を考えている。

千人塚博士の奪還

その一事のみが彼女の心をずっと支配していた。

事件発生からもうすぐ二週間、その間ずっと脳をフル回転させているのである。

力の抜きどころを心得ている他の面々とは異なり、彼女の心身はもう限界に近い。

師である千人塚博士は世界でも指折りの超常研究者である。

その千人塚博士をして現代最高の天才と言わしめる程の彼女がここまで己を磨り減らさざるを得ないのは博士が持つ『事案』的特性が故だ。


完全な不変不老不死


この場のほぼ全員が把握している事ではあるが、本来として『機構』の最高機密のうちの一つだ。

その特性故にこの場の多くは博士の生存について楽観的にとらえている節がある。

いや、生存という意味であれば小笠原研究員とて同じ事であろう。

彼女の懸念はその『事案』的特性の持つ価値だ。

初動の明らかな出遅れと容疑者のロストは『機構』がその勢力圏とするエリアを敵が脱している可能性を示している。

勿論UNPCC加盟各国は独自の哨戒網を以てテロリストの侵入を防ごうとするだろう。

第一の懸念としてテロリストを撃滅したいずれかの国が千人塚博士の特性に魅力を感じた場合、素直に返還に応じるだろうかということ

第二の懸念としてそもそも今回のテロの裏に国家またはそれに類する組織が控えていた場合だ。

その場合千人塚博士を目的としていた事が窺えるテロリスト達である。

発見を隠匿されれば『機構』の情報本部といえども尻尾を掴むことは難しいだろうし、仮に発見したとしても奪還は難しい。

全面超常戦の愚は犯せない事を思えば交渉次第ではあろうが……


「小笠原主幹?」


「え……?」


彼女を思索の檻から引きずり出したのは安曇修主任研究員だった。


「顔色悪いですよ? 大丈夫ですか?」


見れば皆が彼女の方を覗きこんでいる。


「安曇妹診たったれや、二毛作志願やろ?」


「いえ診るまでも無いです、過労ですよ……ちゃんと眠れてますか?」


「いえ……その……」


「根を詰め過ぎるのは相変わらずですか……藤森、強制連行だ」


「はい!」


羽場主務の指示で立ち上がった藤森調査員


「いやいやいや、大丈夫です! ほら、まだ晩御飯食べて無いですから!」


必死の形相で彼女を制した小笠原研究員は安堵の溜息をもらす。


「あ、あの……良かったらど、どうぞ」


「……いや寝て貰った方が良いだろ、しまっとけよ」


テーブルにエナジードリンクを置いた片切管理員とそれを諫める大嶋調査員


「博士がいないと」


「ブレーキの無い」


「「暴走機関車ですよね……賢いはずなのに……」」


困った表情の安曇両研究員


「ほんまやで? ペーペーの頃からずっとこれやからなぁ、双子は真似したらあかんで?」


「博士が心配なのは分かるけど、正直手書きの計画書を渡されても僕にはどうにもできないし……今のうちに休んでおいた方が良いよ」


「ドアホ! 知っとたんなら止めんかい!」


「何回も止めたってば!」


この場にいる皆が自身の身を案じていることは彼女も十分に理解している。

それに千人塚博士の安否についてもどかしい思いを抱いている事だってわかっている。

ただ、それでも動き続けていなければ自身の心が持たない。

皆のように腰を据えて状況の推移を待つということは彼女には少々難しい事なのだ。

それは単に適性の差である。

性格が故と言い換えてもいいだろう。


「小笠原主幹、それと守矢主務、よろしいですか?」


そんな喧騒の中、声をかけてきたのは秘書科の調査員だった。


「え、あ、はい」


「三原君じゃない! どうしたの?」


「すみませんがここでは……」


言って三原主務調査員は他の面々を見る。


「なんや、うちらはのけ者かいな」


「ははは、流石『百鬼夜行』だ。理解が早くて助かりますよ。ではお二人はこちらへ」


促されるまま二人は三原調査員に続く。

エレベーターに乗り、更に地下へ

『機構』本部は地下85階まで広大な地下空間を占有している。

その事は彼女もよく知っている。

だが、階数表示が「B85」を示してもエレベーターが止まる気配は無い。


「所長……本部っていつの間に増築したんです?」


「ごめん、僕もここまで来るの初めてで……」


「目的地は地下110階です」


二人が小声で話していると三原調査員が苦笑いしながら教えてくれた。


「えっと、そこで何を?」


「じきにわかります。そんなに身構えなくても特に危険は無いので安心してください」


「ほんと? ならよかった!」


緊張感の欠片もない守矢所長の表情を見て彼女も少し肩の力を抜く

人柄はさておき、甲信研の所長である。

流石に主幹になりたての自分よりも本部慣れしているだろうし、そもそも良くも悪くも型破りな千人塚博士の弟子としての先輩なのだ。

今まで生き残ってきたのにはそれだけの理由があるだろう。

そんな彼が特に警戒する様子も見せないのである。

であれば三原調査員の言葉に嘘は無いのだろうと、彼女は思うことにした。

千人塚博士以上に楽天的な兄弟子の思考形態はこの際完全に無視である。

エレベーターが地下110階に到着して扉が開くと、そこにあったのは無機質な白い壁に囲まれた空間だった。

『機構』の施設にはありがちな風景ではあるが、広いエントランススペースの先には扉が一つだけ

奇妙な間取りに加えて完全武装の職員がかなりの数屯している。

ネイビーブルーの作業着は彼等がいずれかの特殊部隊に所属している事を示しているが……


「珍しいね、秘書科の皆が作業着姿なのって」


「あれって秘書科の人達なんですか?」


「うん、ほらあそこの盾持ってる彼石和君だよ? 勝沼で会ったことあるでしょ」


「いや、覆面してるんで分かんないですよ」


守矢所長の言葉にこの場の空気が少しざわつく。

それぞれが防弾のケブラーマスクや防護マスクを装面している状況である。


「えー、あ! あっちの彼は分かるでしょ! 新潟県民でお馴染みの戸倉君」


「あぁ、藤森さんが顔に落書きしたっていうあの?」


「そうそう! その戸倉君!」


「まったく……相変わらずとんでもないですね……おい、もう外していいぞ! この人には無駄だ」


何かしらの理由があって顔を隠していたのだろうが、相手が悪かった。

三原調査員以下10部秘書科の面々はそう言いたげな苦笑を浮かべている。

確かに見覚えのある顔が多いと小笠原研究員は納得した。

守矢所長が他人をよく見ているのは今に始まった事では無いし、恐らくこの場にいる秘書科の職員達もその事はよく知っているだろう。

何しろ甲信研は10部所管の研究所である。

所掌が同じであれば自然と関わる機会が多くなるのは『機構』という巨大な組織であっても変わらない。


「では、こちらへ」


促されて二人はそれぞれ同性の職員からかなり厳重なボディチェックを受ける。

本部に監禁される前にあらゆる危険物や通信機器を取り上げられているにも関わらずだ。

案の定結果は異常なしだった。


「ふう……僕ボディチェックって苦手なんだよね、くすぐったくって」


博士が居たらおっさんが気持ち悪い事言うな!

と言いそうだなと彼女は思ったものの、相手は上司の上司にあたる立場なので曖昧に笑って返すに留めた。


「では、御案内する前に一つだけ……これから先のことはくれぐれも他言無用でお願い致します」


「うん『機構』だよ? 今更じゃない?」


「ですね……大抵のことは機密ですし……」


そもそも存在自体が厳重に秘されている組織である。

その上特殊部隊員にすら明かさない用件であれば、その重要性はわざわざ言葉にするまでも無い。


「まあ……いえ、今はそれで大丈夫です。とにかく黒2相当の機密事項ということだけご理解いただければ」


何やら含みのある言い方の三原調査員

彼に促されるまま、二人は扉の奥へと足を踏み入れていった。



小さき神を襲う巨大な力

さながら濁流に惑う一片の木の葉と見紛うほどに、傍目には一方的に映るその有様は正しく蹂躙


「いったた……まったくもう! 勘弁してよ」


それでも傷一つ負うこと無く立ち上がった。

それは神であるが故


「暴れん坊には昔っから手を焼いてばっかりだよ、ほんと」


それは善である。

その全ては是である。

小さき身の内にあれど、その神威は果てなき程に広く、目が眩む程に高い

神州その祖がかの番の神とするならば、見渡す景色の、人々の営みのその祖

斯くも高き神々の、その一柱が彼である。


「でも奥さんと友達のためだからね! ちょっといいとこ見せちゃうよ!」


小さき神が抜き払うは、針の如く小さな剣

平素と何ら変わらぬ口振りで、しかし人々の畏れ敬う荒御霊を以て眼前の脅威に向き合う。

斯くも容易く、斯くも難い

それは一寸法師、千年来の鬼退治であった

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