表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

scene2


転校してから数日、私は普通に帰ろうとしていた。周りの皆は、部活などがあるようだが私は入るつもりはなく、いつも通り帰ろうと廊下を歩いていた。

「…おや、美しいお嬢さんだね」

目の前にいきなり人が立ち、そんなことを言う。……いや、誰?驚いて顔をあげると、そこには高い鼻、上品な目元、シルバーに輝く髪には紫のメッシュが入っており、白学ランを着ている。そんなイケメンがいた。(因みにうちの学園の制服はブレザーだ)

「こんな美しい人を私が知らないなんて、私もまだまだだね」

その人は大仰に立ち振る舞いながら言う。え、美しい人って…私のこと?

「あの…どなたですか?」

「おっと失礼。私の名前は空峰こまり。三年生さ。君の名前を聞いてもいいかい?」

「……綾崎リアラ、です」

「美しい名前だね‼︎ねぇ、君。私とともに宝塚部に入らないかい?」

「…え?なんですって?」

「だから、私と宝塚部に入ろう‼︎」

あ、やばい人かもしれない。

「すみません‼︎私用事あるんで失礼しまーす‼︎‼︎」

私はそう言ってその場を去った。


次の日の放課後、私はアンズ君と紅葉君と喋っていた。

「——ということが昨日あったんだけど、宝塚部って本当にあるの?」

「あるよ」

アンズ君が答える。え、あるんだ。

「空峰先輩に会ったんだ〜」

紅葉君が言う。

「知ってるの?」

「知らない人はいないよ〜‼︎男装イケメン、って学園中で有名なんだ」

「男装…やっぱり女の人、なんだよね?」

「あぁ、そうらしい」

…男装してるなんて、変わった人。ていうかそれを許してる学園もすごいと思うけどね。

「んで、宝塚部入るのか?」

アンズ君が私に尋ねる。

「え?いや、そんなつもりはないけど…」

「綾崎‼︎今から先生と職員室行くぞ〜」

いきなり先生に呼ばれる。え?…怖い。私は、何かやらかしたかなとこの数日間の記憶を巡らせた。すると

「あ、立華と神城もおいでおいで〜」


「失礼します…」

「失礼します」

「失礼します」

私たちは職員室に入る。

先生はこの前いたところと同じ机に座った。この前より少し散らかっている。先生のすぐそばまで行くと、先生が口を開いた。

「綾崎、学校生活にはもう慣れた?」

「あ…はい。昔の知り合いとかもいて、なんとか……」

私はアンズ君を見上げながらいう。

「それは良かったね〜」

なんか…漂うおじいちゃん感。縁側でお茶でも飲んでそうだなこの人。

「で、綾崎はどっか部活入ろうとか考えてる?」

「え、いや特に考えてませんけど…」

「そっか‼︎」

先生は咳払いをし、改めて言った。

「さて…。三人とも、映画研究部に入らないか?」

「え…」

私が驚いていると、隣でため息が聞こえる。

「先生〜それ何回目?オレ入らないって言ったじゃないすか。映画あんま興味ないし」

「ボクも」

アンズ君と神城君が即座に断る。…そんな何回も誘われてるんだ?

「う…。そこをなんとか……」

「な…なんで映画研究部なんですか?」

私がついつい尋ねる。どっかの部活に絶対入らないといけないとかあるのかな…?

「実は先生もここの生徒だったんだが、その時に所属していた映研が遂に潰れそうでねぇ…。僕のクラスで部活に入ってないのはお前らだけなんだよ〜」

「で、オレらは前からずっと勧誘され続けてるってわけ」

あ、そういことか。私は少し考えて言った。

「……私入ってもいいですよ」

「「え」」

先生とアンズ君の声がかぶる。込められている感情はかなり違うみたいだが。

「映画はそこそこ好きですし、部活も楽しそうだと思いまして」

「おぉぉ‼︎ありがとう‼︎ありがとう‼︎」

先生が奇妙な動きをしている。おじいちゃんぽさに宇宙人らしさがプラスされる。なんだこの人…。

「オ…オレも入る」

アンズ君が呟いた。先生がキョトンとしている。

「え?興味なかったんじゃないの?」

「興味…出ました」

そっぽ向いてるアンズ君の顔はよく見えない。でも私の顔は輝いていることだろう。知り合いが入ってくれるのは素直に嬉しい。

「そうか‼︎そうか‼︎よし、神城も入ろう」

「いやその流れ意味わかんないですよ」

神城君が即座に返す。

「映研に入るともれなくお菓子が付いてくるぞ」

「…」

「美味しいぞ〜?お前お菓子好きだろ〜?」

「……じゃぁお試しで数ヶ月だけ」

「おぉ‼︎おおぉぉ‼︎」

先生の顔がキラキラ輝く。神城君はお菓子が好きなんだ。クールなイメージが少し変わった。彼は私の思ってるような人ではないのかもしれない。

「これで部ができる‼︎三人とも本当にありがとう‼︎場所はここね、活動日は自由だよ‼︎先生が鍵持ってるから、取りに来て‼︎…まぁあまり活動することもないと思うけどね。あっはっは。お喋りでも楽しんで‼︎先生も遊びに行くから‼︎‼︎」

…先生のテンションが高すぎてついていけない。まぁ要はお喋りすればいいということか。アンズ君と神城君、この二人とのこれからの部活。一体どうなることやら。

こちらはpixivで連載していたものです。

転校したての学校、職員室に呼び出されたリアラたちは…?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ