値段が二倍だからって美味しいとは限らない
新作始めました。はじめましての方ははじめまして、初めましてじゃない方察してください飽き性なんです。
投稿する時間はおやつの時間です。
「先輩、このガムって当たり本当にあるんですかね?俺一度もこれ当たったことないんですよ」
学校帰り道の途中にある駄菓子屋さんで、俺は前々から思っていた疑問を漏らした。
「それは後輩くんの運が悪いだけだよ。ほら、見て当たり!いいでしょ?」
と先輩がさっき買った10円ガムから当たりを取り出し自慢気にその豊満な胸を張りながら見せびらかしてきた。俺は本当にあるのか〜と感心しつつガムをくちゃくちゃと噛む。ちなみに胸はガン見である。
今回俺が買った味はヨーグルト味これが俺のお気に入りだ。味はあまり長続きしないけど、定期的に食べたくなるのでここに来たら1個は必ず買っている。
「後輩くんさ〜毎回毎回そればっかり食べてるけど、他の味食べないの?この苺味のやつかなり美味しいよ」
「別に、他の味が嫌いなわけじゃないんですよ。ただ、この味に勝る10円ガムがないだけで、ヨーグルト味がなかったら他の味も普通に食べますよ?」
「へぇ、じゃあこれ食べてみてよ。美味しいよ♪」
そう言った先輩は、俺に一つガムを渡してきた。それは
「これ20円のガムじゃないですか!こんなの美味しいに決まってるじゃないですか」
「ふふっ、さぁ二倍の値段の力を思い知るがいいよ!後輩くんこれで君の身体は10円のガムでは満足できない身体になるといいさ」
「そう言われても先輩、俺今さっきガム口に入れたばっかりなんで、食べるのもう少し後でもいいですか?」
「それくらいの猶予は与えてあげるよ!今から君の顔が驚きに満ちた顔に染まるのが楽しみだよ」
と言いながら先輩は風船ガムを膨らませていた。そしてある程度の大きさまで達するとパンっと割れそれを口に戻してまた風船ガムを作っていた。
これを俺以外の学校の生徒が見たら驚きに染まるだろうなぁと思いつつ俺は風船ガムが作れないのでくちゃくちゃとガムをひたすらに噛む。
駄菓子屋で一緒にこのガムを噛んでいる俺が先輩と呼んでいる彼女の名前は 神崎 咲さんだ。彼女は俺が通っている工業高校と名のついた普通科しかない学校の先輩だ。そして彼女は俺のいる学校で一番の美女で通っている。艶やかな黒髪は背中の辺りまで真っ直ぐ伸ばされていてその中程にハンズクリップと言われるアクセサリーで髪を纏めている。目は少し切れ長で妖艶でその黒い瞳に見つめられるだけで多くの男が恋に落ちたそうな。顔立ちもしゅっと整っており口の斜め下に二つ小さいホクロがある。スタイルまたよく、胸はスイカのように豊満で腰は恐ろしく細く足もそれに倣うよにすらっとしている。しかも身長も170と女子にしてはかなり高くこれなら美少女ではなく美女と言われても仕方がない。本人は美女と言われるより美少女の方が良いとよく愚痴を零している。
俺はそれを聞くたびにあんたのその大人の色気むんむんの見た目では無理だろうと毎回思っている。
こんな大人の清楚なイメージのある先輩が風船ガムを膨らませていたらそりゃギャップが凄い。なんていうかイメージと全く正反対で不釣り合いな感じがあるがそこは美女パワーのおかげでなんとかなっている。
何をしても美人さんは絵になるから本当ずるい。俺のようなフツメンより上かな位の中途半端な顔立ちの俺からしたらその能力は羨ましい。
そんなことを考えていたらガムの味が無くなってきたので、ペッとティシュに捨てる。この駄菓子屋さんはゴミ箱があるのでそこにティシュ投げ入れる。
「ナイスイン!ホールインワンだよ」
「この距離でホールインワンにならない奴って相当下手ですよ?逆に俺見てみたいくらいですよ」
「本当だよ、流石の私もこの距離で外すことはないしね」
「では、先輩から貰った20円ガムいただきますね」
「うむ、感謝して食べるのだぞ」
「ははぁ」
と言って先輩を崇めながら俺は、20円ガムを食べてみた。
感想は
「値段が二倍だからって美味しさは10円のやつと変わんないですね、期待して損しました」
俺は想像していたより味に差を感じなくて、これなら10円ガム二つ買った方が良いじゃんと驚いていた。
「君の期待は裏切っちゃったけど、私は君の驚きに染まった顔が見れて満足だよ。なかなか面白い顔をしていたね」
と悪戯が成功した子供のような笑みを浮かべながら笑ってきたので俺がこの反応をするのは先輩の想定の内だったようだ。俺は先輩の手の上で踊らされていたことに対して恥ずかしくなり頬を赤くしてしまい、そっぽを向いた。
「よし、今日は珍しく後輩くんの驚いた顔が見れたから、帰りますかね」
先輩はガムをティシュに吐き出しながら、立ち上がった。
そして、ガムを包んだティシュを投げるがそれは入らなかった。
「先輩、流石の私でも外さないって言ってませんでしたか?」
「い、いや〜これは偶々だよ、ほらよく言うじゃない猿もおだてりゃ木から落ちるって。これはさ後輩くんが珍しく無表情以外の顔をしていたからね。嬉しくなっちゃって、ついね。」
「えっ!?」
おい、先輩あんたなんて言った。それは俺の表情が死んでると言ってるのか、俺は常に喜怒哀楽を表現しているというのに失敬な。この発言で、少し凹んだのは内緒。だって自覚があるからね。
「嘘!今のなしこれは口が滑ったとかじゃなくてね。そう、君の驚きの表情をまた見たくて言った嘘だよ!いや〜また私に弄ばれる気持ちはどう?後輩くん」
そう言った先輩の顔を見てみると頬に真っ赤に染めていた。
「流石先輩ですね、してやられましたよ。でもこの距離で外したからって、そんなに恥ずかしがらなくても良いじゃないですか?顔真っ赤ですよ」
「うー、……何で君はこういうところで朴念仁なんだい。普通ここはもっとこうあるだろ何か『先輩それって俺のこと!?』とかさぁ…」
と先輩顔を隠して何か呟いている。顔隠して恥ずかしがってる先輩めっちゃ可愛いな。そんなことを考えながら俺は先輩から貰ったガムのゴミを捨てようして当たりが出ていることに気づき、人生で初めて当たりが出たことと、先輩の可愛らしい一面が見れて今日は運がいいなと思うのだった。
のんびりやるので、皆さん承知ください。
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