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第3話 5歳、父になる

 ――スキル:硬化 刺突根(しとつこん)術 を獲得しました。

 ――スキル:鞭術 がスキル:枝鞭(しべん)術 に変化しました。


 また2年が経った。あれから毎日訓練に明け暮れ、遂に葉っぱを硬くできる様になったんだ。その後は、魔物とのスパーリングを通して、使い心地を確かめたり戦闘への最適化に努めたりした。その過程で「鞭術」が木の身体に合う様に変化したのは嬉しい誤算だったな。


 「刺突根術」とやらは、たぶん根っこでホーンラビットとか鳥とかを鳥葬したりしたからだろうな。フッ、大分俺もこの修羅の世界に染まってきた様だ。


 1年くらい経ったら折れた枝も生えてきたよ、ほんと良かった…。


 今は気配察知が出来ないか頑張っt―――


(―――…!)


 …ん?今何か…。


 ――スキル:念話 毒耐性 を獲得しました。


(―――ぱぱ!)


(ん!?)


(やっととどいた!やったー!)


(どこから聞こえるんだ?)


(ここだよ!おーい!)


 頭の中で声が響くから声の主の位置はよく分からないが、身体を捻って左下を見てみると…


(なんかキノコ生えてる!?いつの間に!?)


 そこには、茶色いかさに白い水玉模様のデフォルメ化したキノコが!


(えぇと、はじめまして、てんぐだけでしゅ。ぱぱ、こりぇ()からよろしくおねがいしましゅ!)


(ぱぱ…パパ!?俺が!?)


(い、いやなの?)


 い、いかん!泣きそうだ!それはマズい!全然理解出来てないんだけども!


(い、嫌じゃないぞ~、こんなかわいい子が出来てう、嬉しいぞ~!)


(えへへ、ぼくも!)


 ま、マジか、奥さんもいないのに子持ちになっちゃったのか、俺!?


(えっと、てんぐだけ、でいーのか?)


しょ()れはしゅじょく(種族)めい?だよ。なまえはぱぱがつけて!)


(そ、そーなのか、待ってろ、良い名前つけてやるからな。)


 うーん、名前か…何が良いかね?…うっなんかキラキラと期待されてる雰囲気が。マジメに考えないと。


 えーと、てんぐだけだよな。…ってあのテングダケか!?「毒耐性」の理由が分かったな。恐ろしい子!それは置いといて、テングダケ、天狗茸、天狗、天…。


(よし、お前の名前は(そら)だ!)


(そら、そら。うん、ぼくのなまえはそらでしゅ!ありがと、ぱぱ!)


(おう、これからよろしくな、天!)


(うん!)


 それから天と話をした。どうやら意識が覚醒したのは、ついさっきらしい。つまりもっと前から生えてはいたんだろーな。どんだけニブいんだ、俺。いや、気づいてたらたぶん引きちぎってただろーから結果オーライか。で、それから元々持ってた「念話」で俺に呼びかけて、俺も「念話」を獲得したと。なるほど。すぐ手に入ったのは共生関係だからかね。


(それじゃあ天、ステータスを見せてもらってもいーか?良いなら「ステータスオープン」って言ってくれ。)


(うん、しゅてーたしゅ(ステータス)おーぷん!)


―――――――――

(そら) 男

種族:天狗茸 状態:共生


スキル:毒 菌 念話

―――――――――


 …おぉ、大体予想通りだな。「状態」とかあったんだな、知らなかった。おいおい、「毒」と「菌」ってヤバすぎないか?菌糸の「菌」だよな、それだけであってくれ、それでも十分ヤバそうだがな。天、恐ろしい子!


 久しぶりに俺のスキルも見せよーか。…ほいっと。


――――――――――――

名無しの権兵衛 男

種族:妖樹(怪樫) 状態:共生


パッシブスキル

堅牢 木 体操 柔軟 伸縮 毒耐性

アクティブスキル

擬態 硬化 刺突根術 枝鞭術 念話

――――――――――――


 うん、俺も成長したな、パッシブとアクティブにスキル表記が変わるぐらいだしな。今ならあの子熊に勝てる。あっちも成長してたら厳しいかもだけど。


 それにしても「念話」は植物系には必須じゃないのか?なんで今まで無かったんだ?…話す相手がいるかどーかか。どーせ俺はぼっちですよ、ケッ!


(見せてくれてありがとな、天。天は強くなりそーだな!)


(えへへ、ぱぱみたいにつよくなりぇ()るようにがんばりゅ()ね!)


(嬉しいこと言ってくれるな~。よし、それじゃあ2人の旅の始まりだ!)


(おー!)


 こーして俺は弱冠7歳にしてシングルファーザーになり、親子2人旅が始まったのだった。



 最初は親になった衝撃が大きく分からなかったが、しばらくすると気づくことがある。それは何か?一緒に旅する相手がいる、話し相手がいるってのは良いもんだ、ってこと。今までの俺、修行僧みたいな生活してたよな。天に感謝しないとな。


 まぁ天は見るもの全てが新鮮でしょっちゅう話がコロコロ変わって大変だけどな。例えばこうだ。


(ねーぱぱ、あれはなに?)


(あれはな、ウサギさんだ。ピョンピョン跳んでかわいいだろ。)


(うしゃぎさんってゆうんだ!あ、じゃああれは?)


(あれは栗だな、チクチクする殻の中に実があるんだ。)


(ぱぱはものしりだね!じゃああれは?あ、あれは?そっちのは?)


(ハッハッハ、順番に教えるから落ち着きn―――)


(あっちは?)


(待て待て落ち着けって、教えるから順番に、な?)


 な?大変そーだろ?でもそれも子育ての醍醐味だろう、たぶん。ただやっぱり人間じゃないからほとんど起きてるんだよな。訓練の時間が減って大丈夫かって?あれだよ、話をする傍ら訓練する、つまりラノベでよく見る並列思考の特訓だ(物は言いよう)。


 それにさ…守るモノができると、人は強くなるってゆーだろ?(キメ顔)


 それにしても、天はいつまで共生状態なんだろーな?今は赤ちゃん?だから育てなきゃだけど、いつかは自立(文字通り)してもらわないと戦闘とか明確な弱点になって困るぞ。まぁ俺の育て方次第なとこはあるよな。がんばろ。


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