マイ、冒険者ギルドへ行く
第8話 マイ、冒険者ギルドに行く
マイは、ギルドに連れて行ってくれるという、うさ耳幼女のハーロット・ルル・クルーシュの後ろをトコトコとついて行っていた。街の中は、おいしそうな食べ物はもちろん、きれいな服や様々な武器を扱う武器屋など、マイが初めて見るものも多く、きょろきょろとしながら歩いていた。
「また~。そんなにきょろきょろしながら歩いていると恐ーい冒険者さんにぶつかって怒られちゃうよ~!」
おちつきなく歩いているマイに向かって、ハーロットは、声をかける。当のハーロットは、マイと同じぐらいの身長にも関わらないのだが、どんな人が来てもよけて歩こうとはしない。屈強な冒険者や歴戦をくぐり抜けてきたかのようにに見える冒険者、いかにも狩人というような大きな弓を背中に担いだ耳のとがったきれいな顔をしたエルフなどだんだんと、ギルドに近づいているのか、冒険者風の人たちが増えてきだした。
悠然と歩いている、ハーロットの後ろをマイはついて行っていたが、ハーロットに会釈をする人や、かなり屈強な人すら、ハーロットを怖がるかのようによけていく人もいた。
マイが少し不思議に感じながら、ハーロットに声をかけようかと思っていたら、ハーロットの方から話しかけられた。
「そういえば、おぬしの名前をまだ聞いておらんかったわ。名前も聞かずに、ギルドに紹介するわけにはいかぬのでな。良ければ聞いてもよいかの?」
マイも、そういえば、ハーロットの名前は聞いていたが、自分が名乗っていなかったことに言われて気づいた。
「あっ!ごめんなさい!私の名前は、マイといいますっ!今日神託を受けたばかりの5歳ですっ!」
「ふむ。今日神託を受けたのは聞いた気がするのじゃが、マイというのか、なるほどのぉ・・・。ん?
マイ・・・?」
「はいっ!マイですっ!で、この頭に乗ってるのが、刻ちゃんで、このクマのぬいぐるみはポルっていいますっ!」
名前を聞いて、何か考えていたハーロットであったが、ポルを見て、ポルが手を挙げた瞬間、はっとした表情になった。
「まさか、ここで出会うとはのぉ。おぬしの父の名は、リュークかのぉ?」
「はいっ!そうです。お父さんを知っているんですか?」
マイは、父の名前を当てられてびっくりしたが、話しをしているうちにギルドの前に着いたようであった。
「ふむ、とりあえず、マイは一人で手続きをするがよい。わらわはちと準備があるのでここで別れる。中に入って、一番奥に受付けカウンターがあるからそこのお姉さんに手続きをしてもらうがよいのじゃ。」
ハーロットはそれだけ言うと、マイをギルドの前においてどこかへ行ってしまった。マイは、大きなギルドの扉を一人で開けることになってしまった。