マイ、不思議な少女に出会う
第7話 マイ、不思議な少女に出会う
「あっちゃ~!しまったわ。ギルド?の場所を聞いてくるのを忘れちゃった。・・・まあ、いいかっ!」
神殿を後にしたマイは、ギルドの場所を聞かずに出てきてしまった。そのうち歩いていれば着くだろうと、気楽に考えてくてくと神殿から街の中心部へ向かって歩いていた。
神殿から出てくるのを見ていた街の人達から、
「おやおや、いい神託をもらったかい?」
「お嬢ちゃんはかわいいから、きっとかわいい神託だろうねぇ!」
「その信託は一生もんだから大事にするんだよ~!」
などなど、次々に話しかけられ、少し恥ずかしくなったマイは足早に大通りへ向かって行った。
どんっ!
ぽてっ・・・。
ぽてっ・・・。
大通りに出る角に差し掛かった際に、マイは、何かにぶつかってしりもちをついてしまった。
「あいたたたっ!なんじゃっ!?誰じゃわらわにぶつかったのはっ!!」
マイがぶつかった拍子に、その相手も同じようにしりもちをついている。少し偉そうな口調で怒っている相手を見ると、マイとあまり変わらないくらいの身長の少女であった。
しかし、マイと違うところはその耳はウサギの耳をしており、幼い子供の恰好ではなくかなり凝った洋服を着ている。
「なんじゃ、幼女ではないか・・・。じゃあ、許すしかないではないか。走ると危ないから気をつけるんじゃぞ。」
ぶつかってしまったのはマイの方であったため、マイは素直に謝る。すると、相手の幼女のような偉そうなウサギ耳少女は、マイの頭を”よし、よし”と撫でて街の中心部のほうに歩いて行った。
マイは、同じぐらいの身長の幼女に頭を撫でられたことに少し唖然としながらも、思い切ってそのうさ耳幼女に声をかけた。
「あのっ!すみません。」
「ん?なんじゃ?もうさっき謝ったからもうよいのじゃぞ?」
「いえ、違うんですっ!」
うさ耳幼女は首をかしげながら、マイに聞き返す。
「何が違うんじゃ?」
マイは、この少女なら、ギルドの場所が分かるのではないかと思い聞こうとするのだが、微妙なテンポのズレでうまく伝えられない。
「んと、さっき神殿にいて・・・。で、女神さまに・・・。」
「おぉ。そなたは、5歳なのじゃな。なるほど神殿で神託を得たばかりであったか。なるほど、その喜びではしゃいでわらわにぶつかったのじゃな。浮かれておっても気をつけねばならぬのじゃぞ。じゃあ、気をつけてな。」
うさ耳少女はそういうとまたすたすたと歩き始めてしまった。マイは慌てて、
「わらわさんっ!違うんですぅ!ギルドに連れて行ってほしんですぅ!」
やっと大きな声で言うことができた。
するとうさ耳幼女は、
「わらわさんではないわっ!
わらわの名前は、ハーロット・ルル・クルーシュじゃ。
なんじゃおぬしは、ギルドに行きたかったのか。神託を受けたばかりで何用かは知らんが、案内してやるぞ。」
ようやく、マイは、目的のギルドまで連れて行ってもらうことになった。
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誤字報告もどしどし(笑)
作者のやる気にもなります。