マイ、神殿に行く
第4話 マイ、神殿に行く
マイとポルと刻ちゃんの3人(と言っていいのか?)は、小さいとはいえ、初めての街で少し興奮気味であった。大通りには、色々な店や屋台が並びいい匂いの漂ってくるお店やキラキラした宝石を売っているお店、防具や武器を売っているお店などマイの住んでいる村にはないような規模のお店が立ち並んでいた。
「ねね。ポルと刻ちゃんってなんでも食べれるの?」
マイは、いい匂いでお腹が空いてきた。だけど、自分だけで食べるのはなんか食い意地が張っているような気がして、ポルと刻龍を巻き込もうと考えていた。
「ん~。なんでも食べれるんだけど、街中で、ぬいぐるみと龍が物食べてるの見られたらなんかやばくない?」
ポルは、正式にはぬいぐるみではなく精霊に属するものである。もちろん刻龍も龍であるためなんでも食べることはできるが、人目につくところで食べてしまうと支障が出そうであった。マイは、小さな村で育ったため、少しだけ?そういう常識が身についていない所があった。もう少し言うと、小さな村で育ったこともそうなのであるが、父親が甘やかしすぎるためちゃんとした常識が教えられていなかったのである。何か欲しいものがあれば、近くでもすぐに父親が買いに走るし、毎日のようにかわいい服や髪飾りなど買ってきてしまう。あまりに目に余っていたため、刻龍が父親を叱る場面もあった。
「じゃあ、初めての買い物してもいいかなぁ?あのおいしい匂いの串のやつ食べたい!」
マイは、たくさん並んでいる屋台の一つに並んだ。美味しいのかマイの前には、4~5人並んでいる。
「お嬢ちゃん何がいいかな?」
屋台の恰幅のいいおばちゃんが、マイに尋ねる。
「んと、マイね。これとこれがいい!」
マイは、その土地の名産である【アスパラガスの黒大豚ベーコン巻5個串】と、【黒毛猛牛のひれ串】を頼んだ。
「アツアツで、柔らかくっておいしい!アスパラガスってこんなに柔らかくなるんだねー!畑の硬いからあんまり食べたことなかったけど、こんなに柔らかくなるならスープとかに入れたらおいしそう!黒毛猛牛のひれ肉は、ちょっとあっちの小道に行ってからみんなで食べようね!」
マイは、ポルと刻龍に話しかけながらアスパラガスの黒大豚ベーコン巻をほおばっている。ポルと刻龍は、我慢するつもりだったが、マイが自分たちの分まで買ってくれた優しさにちょっとウルっときていた。
マイと、ポル、刻龍たちは串を平らげ満足した状態でようやく神殿へとたどり着いた。
「ここは、女神カーラ様の神殿である。そなたは、何用で参られたか?」
神殿の前には、2人の門番のような女性が立っている。マイは、用を聞かれ5歳になったため女神からの神託を受けに来たと話す。すると、少し硬い表情であった2人の門番共に柔らかい笑顔となり扉を開け、マイ達を中へと促した。
「うわ~!たっかい天井だね~!!!装飾もすっごくきれい!!」
マイは、神殿の中に初めて入りその壮大できらびやかな様子に感動していた。たくさんの椅子の並んだ礼拝堂を進み、その一番前まで行くと、神官と思しき男性が立っていた。
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誤字報告もどしどし(笑)
作者のやる気にもなります。