マイ、はじめてのおつかいに行く
第3話 マイ、はじめてのおつかいに行く
マイは、5歳になり、女神からの神託を受けるために小国の城下町にある神殿へ行くことになった。
ノームギアと言われるこの世界で、神殿は絶対的な存在であり、全ての子供たちが5歳になった時点で女神からの神託を受けることが習わしとなっている。その神託によって、これからの職業への道しるべとなる。職業とは、百姓や町人などのスキルの能力の低いものから勇者や英雄といった将来スキルの高くなるものに分類される。
しかし、5歳の神託で降りるものはその先駆けとでもいうのだろうか、百姓であれば【草いじり】(この流れでは、百姓から薬師までの幅がある)町人であれば【歩く人】(この流れでは、町人、商人などの町で働く職業に就く)勇者や英雄になるものでは【光】や【闇】、【炎】や【氷】などのスキルに直結するような信託が下りる。この場合も、流れでは勇者や英雄になるが、賢者や、大剣士などそのもののなれる幅が決まっており、また、努力次第というところもあるため、5歳で降りる神託はまあまあ、アバウトな神託である。
マイも、昨日5歳になり相変わらず、いろいろなプレゼントももらっていた。よくわからない光る剣や、八又にわかれた剣、キラキラした球状のものが浮いている杖などあったが、一番気に入ったのは、またもやハルクさんが送ってくれたぬいぐるみであった。
「おっ!
マイ、よかったねぇ~!ぬいぐるみかぁ~!
今回はハルクが一番娘に合ったものを送ってくれたみたいだなっ!」
父も、相変わらず不格好な包みであったが、その脇から見える茶色いぬいぐるみの手を見ながら微笑んでいる。
「うん!くまさんみたい!」
私も、うれしくなってべりべりと包み紙を破いていった。すべての包み紙がはがされると、想像していたとおりかわいい熊のぬいぐるみが出てくる。その服装は、海賊の服のように赤い服を着ておりキャプテンハットをかぶり左目には眼帯をしているちょっと変わったぬいぐるみであった。
「パパっ!みてみてっかわいいよぉ~!!
服もかっこいい。この眼帯は何かなぁ~?」
リュークは、
『くま・・・。眼帯・・・。かっこいい服・・・???』
娘の言葉を復習してから、恐る恐る娘の抱きかかえているぬいぐるみを見るのであった。
「やっ!!!やっぱりぃぃぃ!!!またやらかしたよあのハルクはっ!!!!」
リュークが、大きな声で喚くと同時ぐらいにぬいぐるみの熊に変化が出る。
「やあやあ!君が今回のご主人かな?
僕をくしゃくしゃの包み紙から出してくれてありがとう!
僕の名前は、ポルガルシス・シャープ・ベルルガルト・ハーウィック3世だよ。
長いから、【ポル】って呼んでね。」
熊のぬいぐるみがしゃべった・・・。
そのぬいぐるみは、父に目をやると、まるで知り合いかのようにウィンクした。
誕生会をしている間、ポルと父は何かこそこそと話をしていたが気にしないことにした。
誕生会の翌日、女神の信託を受けるために初めて一人で城下町にある神殿へと向かっていった。もちろん左手には、ぬいぐるみのポルがいる。父が、一人では心配だから連れていくようにと言ったからである。また、頭の上には小さくなった刻龍の刻ちゃんが乗っかっていた。朝は苦手な様子でたまに大きなあくびをしている。4歳の誕生日から半年ほどたったころ実体化して、その後は常に一緒にいる状態であった。
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誤字報告もどしどし(笑)
作者のやる気にもなります。