マイ、刻龍使役する
第2話 マイ、刻龍使役する
4歳の誕生日になった私。父親も優しく、いつも農作業に汗を流し夕方になるとその仕事を終えて、私と遊んでくれる。
その日は、私が生まれ、母の亡くなった日。父は、母がいないことに寂しくないようにと、その日は祝いの日としていた。
たくさんのプレゼントが、私の前に並べられている。父や祖父母からのプレゼントはもちろんなのだが、20個は下らない数のプレゼントが目の前にある。
「パパのお友達がマイちゃんが生まれてからずっと送ってくれているんだよ。」
父のお友達とは、結構なお金持ちが多いようで、プレゼントはいつもこの辺で見かけた事のないようなものが多かった。
「あっ!ハルクさんからのだ。」
無骨な包み紙を見てすぐに分かったものがあった。毎年同じような包み方で送ってくれる。中身は今まで、武器などが多かったが今回も外から見て明らかに剣のように見える。
「全く、ハルクはうちの子は女の子だと言っているのに毎年こんなのばっかり・・・。」
「ううん。ハルクさんの武器は好きよ。持ってしっくりくるもの。私に合わせてくれているみたい。」
父がぼやいていたが、実際今まで送ってもらっていた武器は子供用に合わせた長さなどちゃんと考えられていた。ただ、子供に武器ってと2歳ぐらいまでは思っていたのだが。
「ちょっと持ってみるね。」
がさがさと、紙の包装をほどききれいな鞘に入った剣を取り出す。
「わー!きれいな鞘!!竜の刻印が金で入っていて、なんだろすっごく高そう!」
私はその剣を鞘から引き抜く。それと同時ぐらいに「あっ!その剣はダメっ!」っと父親が言ったが既に間に合わなかった。
剣を抜いた右手から、すさまじい力が体に入ってくる感覚がある。
頭の中に、言葉が響いてきた。
『汝、我を使役するものか?我はそなたの力になる。そなたは我を使役するだけの力をもって・・・。
・・・
・・・ん・・・???
おぬしは子供ではないかっ!なぜ我を封じた剣を持っておるのだっ!?』
頭の中に響いてきた声があせっている。なんでって言われてもただ引き抜いただけなんだけどな。父が慌てているから、たぶん何かまたおかしいことしちゃったんだろうけど。
『コホン。
引き抜けてしまったものであれば仕方がない。年齢制限などないしな。
汝、我を使役したいと思うか?』
取りあえず、うんとうなづいてみる。
『分かった。
我は、今この時より、汝を使役するもの、我を汝に使役されるものとする。
我が名は、刻龍。
この剣は、覇王剣黒龍。
我はこの剣に住み、汝の力となるものなり。』
うん。何となく分かったような分からないような。
「まあ、よろしくね。刻ちゃん。」
「あぁぁぁ・・・。ハルクめぇ!!まさか、封印していたこの剣を見つけてくるとは・・・。まあ、あいつも、この子が好きだから守り刀にと思っただけなんだろうけど・・・。」
リュークは、覇王剣黒龍を腰につけて何かと話しをしている我が子を見ながら深いため息をつくとともに、あとのプレゼントを開くのが怖くなった。
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誤字報告もどしどし(笑)
作者のやる気にもなります。