マイ、自宅に帰り着く
第11話 マイ、自宅に帰り着く
ギルドマスターは、マイを見送ってしばらくしてから、部屋でくつろいでいると、アッと忘れていたことに気づいた。
「むっ。しまったのぉ。名前を言うのを忘れておったわ。まあ、あの子にはまた会うじゃろうし。わらわが、実は※※※じゃということはまだ伏せておくかの。」
マイと会った時とは全く違う姿になった、ギルドマスターはまた会えることを楽しみに思いながら微笑んでいた。ほかの冒険者がその姿を見たら、微笑みに殺されていたことだろう。
マイは、ポルと刻龍と一緒に街の中をゆっくりと見ながら父親への土産も買って、城下町から出るころには正午を過ぎていた。
「マイは、ご飯も食べなかったけどお腹はすいていないのかい?」
クマのぬいぐるみのポルが、町を離れたところで、一人でてくてく歩きながらマイに聞いてくる。
「なんか、街の中歩きながらいろいろと屋台の物を食べていたらお腹すいていないのよね。あと、神託の内容とギルドで言われたことでもお腹いっぱいになちゃって・・・。」
「なるほどのぉ。確かに剣士にあのスキルでは今後のお主の強さが非常識にならぬか我は心配ではある。」
頭の上にまだ乗っている刻龍の刻ちゃんが、ぼそっと失礼なことを言ってくる。
「でも、お父さんに正直に今日のことを話してどうするか決めてもらおうかな。」
マイは、笑顔でそう言うと家路を急いだ。街道沿いは、ランクG~H程度の魔物が出ることがるから注意して移動するようにと父が言っていたが城下町へ行く際も何も出てこなかったが今歩いていても特に何も出てこずにスムーズに移動できている。
時々、頭の上にいる刻ちゃんがふらっと森の中に飛んで行ってもごもごしながら帰ってきてはいる。ポルも、同じようにふらっとどこかに行っては帰ってくる。マイは、城下町へ行く際にも同じような感じであったため、特に気にせずに進んでいた。
「そろそろ、おうちが見えてくるかもー!あっ!畑にお父さんがいるー!!
おーい!!お父さーん!今帰りましたー!!」
マイが、父親であるリュークの姿をかなり遠くで見つけるとここからでは聞こえないだろうという距離であったが父親に声をかけた。
豆粒のような大きさに見えていた、リュークの姿が一気に大きくなりマイのそばに文字通り飛んできた。
「よく無事で帰ってきたなぁ~!!!マイ~!!パパは、心配で心配で寂しかったぞ~!!途中で一人で行かせろと言った長老を絞め殺しそうになったぐらいだよ。」
いやいや、絞め殺しちゃダメでしょと、マイは苦笑いしながら抱きしめてくる父親の肩をポンポンと優しく叩いた。