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春のそよ風

ここからは人称が一人称視点から三人称視点に変わるのでご注意ください。

「ほんとになんでこっちに来たか彩夏は知らないんだな?あと、なんで貴族みたいな恰好とかしてたんだよ。」


「だからー知らないってさっきから言ってるじゃん。それは...まぁ?私の変化した美貌にかかればどんな男だって落ちるよね?あと『あや』って読んでよ♪」


「貢がせたのか...。断る」


 さっきからずっとこの調子である。この二人はイチャついてるのか真面目なのかよくわからない。

 そして彩夏は自分のスキルを悪用して男を垂らしていたらしい。ここに天才高校生詐欺師の誕生である。厳密にいえばギリギリ高校を卒業したので高校生ではないのだが、そこは気にしないでおこう。


「ところであのとき返…」


「さぁさぁせっかくの異世界だもん思う存分楽しんじゃおー」


「おー!…じゃなくて、無視すんなー」


 完全に彩夏にペースを持っていかれる葬送。やはり主人公は葬送ではなく彩夏なのかもしれない。可哀想な葬送。ただ世界に嫌われているかそうでないかだけの差なのに。


「それで、主人公様、これから何をするのですか?」


「そりゃあもちろん、冒険者になるに決まってるじゃない!」


「あ、もう間に合ってます」


「えー」


 そう。葬送は今さっき大変な思いをして、多分冒険者になったのだ。多分…。

 だから、一応忠告をしておいた。


「冒険者に登録するときステータス見られるから大変だよ」


「あぁ、そんなこと心配無用!この私のチートスキル『偽装』があればステータスなんかばれないようにいじれるんだから♪」


 そう、彼女はこの物語の主人公。こんなことができないわけがない。葬送もチートスキルを持っていなくはないのだが、彼女と比べると使えないものばかりだった。

 葬送の心配は不要だったようだ。


「よーし、じゃあ早速冒険者ギルドへレッツゴー!じゃあそうくん、案内して。」


「やだよ、自分で行きなよ。」


「もぅ。そうくんったら、いいでしょそのくらい。レディには優しくするものよ。」


「そんないい時だけ使うな!」


『おい、そう!レディには優しくしなさい!』


 ここには葬送の味方はいないようだ。男子一人に女子二人、もう既に葬送は肩身が狭い思いをしているようだ。

 そして、りりあのことはやはり誰も突っ込まないのだろうか。主人のことを呼び捨てにしていることを。この数時間で一体葬送はりりあに何かしたのだろうか。


 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

 冒険者ギルド


「はいよ。ここがギルドだよ。」


「わぁー、おっきいのね。なんかもっとこうボロいと思ってたのに。」


「あんまり大きい声で言うなよ。失礼だろ。まぁ俺も最初はそう思ってたけど...」


 そんなことを言いながら二人はギルドの中に入っていった。もちろんりりあも見えないだけで二人と一緒にいる。

 そして、事件は起こった。

 冒険者ギルドでのテンプレ、新参冒険者が古参冒険者に絡まれるというあれだ。

 葬送だけのときは起きなかったが...

 やはり主人公は彩夏なのだろうか。葬送は顔には出さないもののきっと心の中で大号泣していることだろう。なにせとても繊細な心の持ち主なのだから。お疲れ様、葬送。


 ちなみに新参冒険者が古参冒険者に絡まれるテンプレは葬送が異世界でやりたかった10のうちの二つ目である。しょぼい。


「お、可愛い姉ちゃんじゃねえか。あんまり見ない顔だな、初めてか?ならうちのパーティー『天使の眼差し』に来なよ。悪いようにはしないぜ。なにせ冒険者はあぶねぇからな。4級冒険者の俺たちが守ってやるよ」


 あれ、葬送たちが想像していたテンプレとなんか違う。葬送たちが想像していたのはもっと激しいいざこざのようなものだったのに。


「折角のお誘いですがお断りさせていただきます。私にはこの人がいますので。」


 と、彩夏は言い葬送の腕に抱きついた。


 葬送の頭は真っ白になった。


 古参冒険者がどうなったかはいうまでもなく...


「ほぅ、こんなガキがねえ。この俺様がどれくらい力があるのか試してやるよ。ちょっと表に出な。」


 怒った。というより怒らせた。そしてその苛立ちの矛先は葬送に向かった。彩夏に巻き込まれてしまった可哀想な葬送。本当にやられるべきは彩夏なのに。

 葬送はこの時初めて女は怖いと思い知ったのである。


 そして葬送と古参冒険者との決闘は言うまでもなく古参の勝...


「え、何が起きた。」


 まさかの葬送の勝利である。忘れてるかもしれないが一応葬送もチートスキル持ちなのだ。

 寄生を使っての勝利であった。もちろんステータスも経験値に変えて奪っておいた。

 つまり今の古参冒険者は雑魚である。


 そんなことをしてしまったために葬送と彩夏の周りには誰も近づかなくなっていた。

 4級冒険者とはそれなりの力を持っているものなのである。


(そういえば寄生をみんなの前で見せちゃったけど大丈夫かな)


『そう、心配しなくていいよ。他の人には寄生したところは記憶になくて、ただそうがが一瞬のうちに消えていつの間にか古参が倒れてたってでけだから』


(まじか)


 葬送は気づかないうちに周りから見るとすごいことをしていたらしい。

 実際に葬送もすごいのだがサブキャラのことなんかどうでもいい。



 ???視点


 葬送の扱いが酷すぎる



 だから誰だよ!

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