バランス崩壊
皇子や商人たちと別れた後、葬送は自分を身代わりにして逃げたあの憎き彩夏を追っていた。
しかし、彩夏が現場から逃亡をしてから既に時間が多少過ぎていたので葬送には彩夏が何処に行ったのかが分からなくなっていた。
どうしようかと目的の場所もなく走っていた足を止めどうしたら良いか考えるた。そこで思いついたのは、
(おい、りりあ。何二度寝してんだ。起きろ!)
『は、ひゃい!…あ、いつの間にか寝てた。何か用なの?こっちは忙しいんだけど。』
(寝てるやつが忙しいだなんて、よくいうよ。)
『睡眠学習て言葉しらないの?これだから子供は』
りりあにどうしたらいいか頼ることだった。りりあならば神の使いで葬送の下へやって来ているので何か知っているのではないかと思ったのだ。
ただ、そんなりりあはだらしなくも二度寝をし、さらには主人である葬送に対して子供だからと馬鹿にするということまで言い出したのだ。全く、とんでもなくマナーのなっていない大精霊である。
いくらレディに優しい葬送でといってもこれだけは堪えられなかったのか、
……イラッ
(…おい、りりあ。いい加減にしろよ?流石の俺でも堪忍袋ていうのはあるからな。あんまり調子に乗ってると、どうなるかくらいは想像できるだろう?)
低い声でりりあに殺意のこもった威圧をぶつけた。
普段は温厚な葬送が本気で怒っている。
実体を持たないりりだが、きっと身の危険を感じ雑魚葬送に恐れおののいたことだろう。
これは、葬送をなめていたりりあの自業自得というものだ。
これを受けたりりあは葬送に対する態度を360度かえることにした。
「ごめん、そう。りりあが悪かった。もう今度からなめたりしないから許して?お願い。………なんて言うと思ったか!お前に下げる面なんかないんだよばーか。」
360度。つまり反省などしていないりりあであった。
そんなやりとりをしていると、急にある言葉が脳裏に流れた。
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チートスキル「天使化」を獲得しました。
『「はい?」』
どうやら、葬送は新しいチートスキルをてにいれたらしい。システムメッセージにチートスキルと記しててあるのはどうかと思うが。
そして、何故このタイミングでスキルを獲得したのかは不明だが、葬送はこのスキルを知ると悪巧みをしているような笑みを浮かべた。
(あらあら、りりあさん。この天使化とかいうスキル。一時的に精神生命体をなんでも命令を聞く操り人形にできるみたいだよ?つまり、りりあを辱しめることも可能だろうね)
『…あんたの創造でなんとかならないの』
りりあは葬送に反抗するのを止め…いや、もうするべきではないと心のなかで強く決意したのだった。もう2度と今回のような過ちを繰り返すことのないように。
そして葬送に忠誠を誓ったりりあだったが、無鉄砲に彩夏を探そうとしているのを見て呆れてしまった。そうしてりりあは葬送に神聖なる大精霊の知識を教えてあげた。そう、葬送のチートスキル創造を使えばりりあを探すことも可能なのではないかと。
(なるほど。ありがとうりりあ!なに創ろうかなぁ。あぁ!)
「『創造、超超高性能人工衛星』宇宙へ飛んでけー!」
さて、葬送が創った物とは…そう!人工衛星である。しかも宇宙からでも個人を探すことができるという高性能な機能付きだ。きっと現代の地球でも再現することが不可能な技術であろう。それほどのものを葬送を創ってしまったのだ。
流石チートスキル、である。
そんなとで、この異世界においてオーパーツ級の超超高性能人工衛星は異世界星の周りを周り始めた。異世界星というのもこの星の名前をまだ知らないからである。
『…ご主人?神に言ってそのスキル消させてもいいかしら。限度ってものを知りなさい!限度を!』
このことに関してはりりあが切れた。そんな簡単にオーパーツ級のものを創造で創られたらたまったものではないからだ。
バランス崩壊というようなものだ。ただ創造すればいいというヒントをあげたのはりりあなのだが。
そんな説教をくらった葬送は、怒られていることなど気にもせずけろっとしていた。
そして、
「スーパースペース機械(人工衛星の名前)よ!彩夏は何処に!」
ピピピガガガ彩夏様は此処より東南に5㎞ほど行ったところの木陰で休んでおられます。一応、東南とは葬送様から見て斜め左の方向です。
さすが超高性能機械。まさかの人工知能付きである。なんと贅沢な。それにしても方角が分からないと人工知能にまで馬鹿にされる葬送とは一体。
その様な報告を聞いた葬送は、
「5㎞ってどんだけだよ!あー楽したい」
楽して彩夏を捕まえようとしている葬送。彩夏に復讐をするという目的を忘れているのではないだろうか。
そんな楽をするためだけに知恵を働かせる葬送。正直考えるくらいなら今すぐにでも追いかければいいだろうと思わなくもないのだが、流石は葬送というのだろうか。良くも悪くも頭が悪い。
「あ、『創造、目視転移』」
これ出来るんじゃない?的なノリでやってみた葬送。
まさかのスキル創造である。創造の使い道は無限大だ。
そしてできてしまったスキル目視転移。
視界に入ってる場所になら何処にでもワープ出来るというこれまたチートスキルだ。
『あんた!いくらなんでもやり過ぎよ!この先それがどんな影響を及ぼすかとかくらい考えなさいよ!』
そのりりあの言葉が葬送の頭のなかだけに響いた。
神様視点
あーらら、流石にちょっと創造のスキルはひどいなぁ。修正しとこっと。
今の葬送のステータス
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レベル 1(-10000)
HP 30/30(15/15)
MP 0/3(0/1)
攻撃力 2(1)
防御力 1(1)
瞬発力 2(1)
持久力 4(1)
スキル
裁縫LV.1 料理LV.1 HP小上昇LV.1 MP小回復LV.1 恥さらしLV.MAX リトライLV.1 寄生LV.1 創造LV.1 EXP貯蓄LV.MAX 目視転移LV.MAX 天使化LV.1 ??? ???
称号
天に愛されし者 世界の嫌われ者 招かれざる転生者 世界を作り替えし者
経験値貯蓄量 8,095
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ステータスにある()は後程説明致します