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策士葬送

 葬送の勝手な合図で始まった戦争、まぁそんな大袈裟なものでもないので大勢のモンスターと人間二人の喧嘩とでも言えばいいだろう。


 葬送は視界に入るモンスターにどんどん寄生してステータスを奪っていき、彩夏は目の前の敵を一人で片っ端から叩きのめしている。素手で。これの何処がレディーと言えるのだろうか。

 そして、葬送達が喧嘩をはじめてから30分ほどたった頃、


「グォォォォォ!」


「わ、なに⁉」


 突然辺りに図太く恐ろしい呻き声のような声が聞こえた。

 それによって周りからチラチラと葬送達の喧嘩を見ていた野次馬たちは腰を抜かして怯えていた。

 葬送達は一応転移者効果のようなものがあったので問題はなかったのだが、そのおかげで腰を抜かしていた野次馬から怪しまれてしまった。


「お、おいあの女の子オークの蛮声を聞いて普通にしてるぞ。しかもあんなゴブリン達の大軍に一人で突っ込んでいくなんて。あと後ろにいる男の子は…ねて、る?こんなときになにやってんだ!男ならお前も戦えよ!」


 と、言われてしまった。このときを境に葬送達は「不精の極み」等というダサくまただらしない二つ名がついたのはあとの話である。



「わわ!なんかオークみたいなのがきたよ!ねぇ見てる?」


「グギ、グギギキ(あぁ、そうだな)」


 葬送達の数倍大きなオークを目の前にしても普通焦ることなく、ましてや楽しんでいるこの子達にもはや恐怖を感じてしまう。サイコパスであろうか。ちなみに葬送はゴブリンに寄生しているのでゴブリン語(?)しか話せない。

 そんな葬送達、いや彩夏を見ていた村人も同じような恐怖を感じていた。

 まぁ葬送に関しては前日にオーガと出会っているので、それに比べたらどうということもないのだが。


「あの子、オークを目の前にしても逃げないぞ。おい!命は無限じゃないんだ早く逃げろ!」


 そう忠告をしてくる村人を背に彩夏は不気味な笑顔を浮かべていた。


「あはは、みんな私が負けるって心配してくれてる!そういう時こそ倒したときのみんなの反応が面白いっ。いやー楽しみだなぁ~」


 もはやレディなどではなくテンプレ策士孔明といえよう。


 葬送はそんな彩夏の性格をよく知っており、また意地悪好きであったので調子に乗っている彩夏を少し懲らしめることにした。


「ギッ、グギギ(よっ、寄生)」


 そう言って葬送はオークに寄生し限界までステータスや経験値を吸った。

 こんな葬送悪ふざけはオークをもしかしたら赤ん坊にすら倒されてしまうのではというくらいに弱体化させられてしまった。きっと走ったらもう動けない体になるだろうというほどに。


 そんなことが起きてるとは知らない彩夏は、


「あはは!今に見てるがいい。この私、ジャスティス孔明ちゃんがオークなんかちょちょっと倒してあげるからっ!」


 その直後、彩夏や村人達は衝撃の光景を目の当たりにする。


 ドスリ


「「え?」」


 オークがその場に倒れ込んだのだ。理由はもちろん知っての通り葬送のせいである。筋力もすべての吸われたオークには自分の体重を支えることができなかった。そして倒れ込んだ衝撃で…はい。


「おい、嘘だろ。化け物かよあの嬢ちゃん」


「え…もしかしてこれって、そうく…」


「せいかーい!彩夏の考えてることなんて筒抜けなんだよーだ」


 オークが倒れたのは葬送のせいだと気付いた彩夏。ここぞチャンスとばかりに彩夏のことを煽る葬送。

 自分が華麗にオークを捌く姿を皆に見せようとしていた彩夏は葬送に苛立ちを段々と募らせていたちょうどその時、


「す、すげぇ!!!なんて早業だ!なんなんだよあの嬢ちゃんは!」


「「え?」」


 葬送も彩夏もこんなことになるなど想像もしていなかった。

 なんと葬送の策は失敗に終わり逆に彩夏の株を上げてしまう結果となってしまったのだ。

 その事にいち早く気付いた彩夏は、


「みたか!この群れの頭は討たれた!頭のいないゴブリンなど赤ん坊と同じだ安心するがよい!」


 と、自分がオークを討伐したと高らかに宣言したのである。

 葬送に向かってどうだ!というように胸を張る彩夏。

 それを見た葬送は歯軋りがするほど悔しがって叫んだ、



「なんだこれーーー!!」





 …どんまい

大変申し訳ありませんでした!

反省してます

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