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手紙

Dear シェレイツ

 お久しぶりになりますね、シェレイツ殿下。10年前以来ですかね?弟君はすくすくと育っていますよ、身体もあなたへの憎しみも。

地下通路もうまく隠しましたね、そこも一応私も知っていたので教えてあげたのに、あぁ嘆かわしい。入り組んでいて探してもひとっこ一人も見つけられなかったそうで、命拾いできましたね。

王族がわざわざ国民をつれて避難する意味もこれだったわけですか。

さて、本題には入りましょうかね。

明日に彼、マルクス君がそちらに向かいます、あなたを殺しにね。

彼は完全に貴方が国に反旗を翻し城を焼き、兵を使い自分を殺そうとした。そう教え込みましたからね。ふふ、兄弟で殺し合う姿を考えるだけでゾクゾクしますよ、兄を殺した後、真実を教えたとき彼の顔も、弟を殺してしまったあなたの顔もね

私を楽しませる結果をもたらしてくださいね

リュクスより


何度読んでも胸くそ悪い。兄弟で殺し合う?絶望した弟も哀しむ妹ももうみたくない。もちろん、着いてきてくれた国民たちも。

だが、弟は生きている。

まぁ、いづれこうなる気はしていた。マルクスが、俺にあの質問をしたときから


「兄上!あの、兄上は僕と命懸けのけっとうをすることになったらどうしますか?やっぱり兄上は僕を切り捨てますか?」

「何故そんなことを聞くんだ?」

「リュクスが、歴史の勉強のときに継承権を争い、兄弟同士が剣を交え殺しあいをした、と。もしかしたら...って、兄上はそんなことないですよね?僕を」

「過去には、そういうことはあった。だが、俺は無意味な争いは好まない。それに...」

「それに?」

「兄は、いくつになっても兄である。マルクス、訳がわからなくてもそれは忘れるな」


ポカンとしたままマルクスは頷いたが、今はその事すら忘れて俺のことを憎み怨み、妬んで生きているのだろう。彼奴をあの燃え盛る城からはやく助けていればこうはならなかった。だから仕方ない、恨まれても憎まれても甘んじて受けよう。

でも憎しみで彼奴に利用され続け無惨に死ぬ姿はいただけない。

俺が死ぬのは彼奴を殺してから。

明日、弟の姿が見られる。あんな別れ方をした弟と。

彼はどんな目で俺を見るのだろうか。

どんな言葉を言われるのだろうか。

この、荒れ地と瓦礫にまみれた王都を見て、何を思うのだろうか。



明日が楽しみでもあり、恐くもあった。

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