我が国を思う
更新ペースはのんびりだと思います。
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楽しんで読んでいただければ幸いです。
退屈な日々
それでも、皆笑顔で
生きていて
そんな日々は、もう、崩れていった。
「兄様!兄様!私城下に行きたいわ!商人がたくさん来ているんでしょう!」
「こら、エリー!兄様も忙しいかもしれないだろ!我が儘言うな!」
「あら、マルクスだって兄様とどこかへいくつもりだったくせにー!」
「なっ!そ、そんなことないですからね、兄様!」
照れながら、俺に会えば甘えてきた弟、妹。
「脇がまだまだ甘いですぞ、殿下!」
「我が国の平和は御父君の力のお陰なんですぞ、殿下も良い賢帝になれるよう、精進なさいますよう」
「シェレイツ様、今こそ王の器が試されるときです。私めのことなど放って民を助けくだされ、道は守ります」
厳しく、指導してくれた俺の恩師。でも厳しい分だけ俺のことを案じてくれていた。
「あらあら、まだまだ知略が足りてませんね」
「そこをこのタイミングで出すのはバカのすることです」
「外交は、全てを予測し、我が国が有利に動くようにしなければなりません。しっかりと持っていける話術を手に入れるのも必要なことですよ」
「生きなさい。そして、この国を任せましたよ」
知識、知略に優れ、外交を一手に率い、指示してきた母上。
「私はただ、この国にすむ皆が平和に暮らせればそれで良いと思っておるのだ」
「威厳だの虚勢だのは正直どうでも良い、一番は国の存続である。民がいなければ国は成り立たぬ、それに気づかぬものは、いつか滅ぶんだよ」
「私はいつの選択も後悔したことはない。例え、今私が死ぬとわかっていてもだよ。すぐ国民に知らせ、避難させよ。通路はわかっているな?」
温厚で自分さえ犠牲にして皆を守ろうとした父上。
「ありがとう、自分だって辛かったでしょう。」
「あんたの、いえ、あなた様のお陰で私たちは家族を失いませんでした。自分を誇ってください」
「我々は貴方についていきますよ」
自分達も辛いのに、俺を支えようとしてくれた国民たち。
あの日から、十年経った。そしてまた彼奴によって、戦禍の狼煙があげられようとしていた。