表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

86/203

最後の伝説級の能力者

 カリバとミステを連れ、再び俺達は最後の伝説級の能力者がいる街へと戻ってきた。

 俺がトタースに戻っている間に、街は更に賑わいを増しており、今ではもうあの静かだった街と一緒の街だは全く思えない。


「またあの女の子の所に行けばいいんですよね?」


「ああ」


 あの無表情だった女の子も、今は感情を取り戻しているはずだ。俺のウインクが効かないなんてことももう起こらない。


「感情を取り戻した本来のあの子は、一体どんな感じなのでしょうか?」


 目的の場所に向かいながら、カリバは聞いた。


「さあな。ただまあ、見た目は大人しそうな子だったし、案外感情を取り戻した後もあんまり無感情だった時と変わらなかったりしてな」


 ただ、もし大人しかったとしても、感情がありさえすれば俺の能力が効かないことはあり得ない。どんなキャラだろうと俺のウインクは通用するから問題無しだ。


「あ、ここですよね」


 特に特徴も無い普通の家をカリバが指差す。前回来た時は母親含め無表情だったが、果たして。

 コンコンと二度ノックをし、返事を待つ。


「はいは~い!」


 家の中から、明るい元気な声がした。この声は誰だ?


「ちょりーっす!!」


 快活な声と共に、ドアが勢いよく開いた。


「いやーほんとに感情取り戻すとかマヤおどろきんぐ!!」


「えーっと……」


 この子は、あの無感情だった伝説級の能力者の女の子だよな?

 いくらなんでもこのキャラは予想外すぎだろ。


「また戻ってくるとはマヤびっくらこいたよ! 用件はなーに?」


 あー、俺この子のキャラあんまり好きじゃないな……。元気系でも萌衣みたいな子は大好きだけど、このレベルになるとな……。


 さっさと終わりにしよ。


「改めて確認するけど、お前は海を陸地に変えることができるんだよな?」


「すっごくない? もしかして見たい? 見たいっしょ?」


「いや、別に」


 見なくたって嘘だとは疑って無いし、見る必要も無い。


「嘘おっしゃい! 見たいんだってマヤ分かってるんだぞ!」


「いや、ほんとに見たくは」


「よーし! じゃあ海まで行ってみよっ!」


「お、おい!」


 俺が止める間もなく、マヤは家を飛び出して走り出してしまった。って、なんだあいつ、超足早いぞ!

 ドクターナミミなんかよりも遥かに早い。元の世界に来れば、普通にオリンピックとか出れるレベル。


「さすが伝説級……」


 特別な能力を持っているだけでなく、運動能力も普通に高いのか。さすがに俺ほどのステータスでは無いとは思うが、世の中にはまだまだ凄い人がいっぱいいるもんだな。


「海到着!!」


 あっという間に海に着いた。ここへ来るまでに、途中でなんとかマヤに追いつきはしたのだが、もうそこまで走ったら、いっそ戻るよりは能力を見た方がいいかなって思って、結局マヤを止めはしなかった。

 

「意外と……近くに……あるんですね」


 息を絶え絶えに、少し遅れてカリバがやってきた。


「そうだな。この街に初めて向かってきた時は全然気づかなかったが、どうやらこの辺は海沿いみたいだ」


 潮の香りが胸いっぱいに広がる。

 そういや、ここって最南端の街だけど、そんなに寒くないよな。海だって、あくまで見た感じだがそこまで冷たそうじゃない。一体こっちの世界の構造はどうなってるんだ? まさかこの星は地球じゃなかったりするのか? 宇宙にでも出てみなきゃ、その答えは分からない。


「じゃあ、早速やってみせちゃう!」


 そう言って、マヤは海の水に触れた。

 あの、まだミステとシュカが来てないんだけど、もう始めちゃうのか? あの二人には見せなくてもいいのか? 

 来た道を見てみると、少し遠くにミステとシュカが走っているのが見える。あれくらいの距離なら、まあそのうち着くか。

 にしても、いざ始まるとなると意外と楽しみだな。一体どんな風なんだろう。


「よいしょ!!」


 マヤがそう一言叫ぶと、海の水が、光ながら形を変化させていった。そして――


「おお……」

 

 海だったところが、陸地になっていた。

 とはいえ、遠くまで全て陸地になったわけではない。陸地になったのは、大体マヤから五十メートルくらいの場所までだ。それでも凄い能力であることに違いは無いが。


「伝説級の能力者で間違いありませんね」


「だな」


「ふっふー。凄いっしょ? パないっしょ? 本気出せばもっと広くできるけど、とりあえずこんな感じっす!」


 二カッと歯を見せながら、マヤは笑顔で言った。


「はぁ……はぁ……。やっと、追いついた……」


 ようやくミステとシュカが二人でやってきた。着いた瞬間、二人仲良く地面に座り込む。よっぽど疲れたらしい。


 さて、ではマヤが伝説級の能力者なのが確定したことだし、久々に落とすか。

 

 マヤの顔をじっと見つめる。


「え? なんすか? マヤに惚れちゃった感じ?」


 馬鹿が。むしろお前が俺に惚れるんだよ。


 じっとマヤを見つめたまま、左目でパチリとウインクをした。


「超! 超ラブ!!」


 ウインクをした瞬間、マヤはそう大声で叫んだ。

 えーと、これは惚れたってことでいいんだよな?


「ここまでラブになったの生まれて始めてっしょマジで! 今すぐ結婚を申し込みたい!」


 うん。これは絶対落ちてるな。

 

 さてさて、これで伝説級の能力者を四人全員落とした。

 後は、ワードルに四人を連れて行くだけ。萌衣の復活は、もうすぐそこだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ