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ラソ

「ここです。上を見てください」


 カリバの案内で、目的地まで着いた。


「上?」


 カリバに言われて上を見てみる。


「おお、なんか浮かんでるな」


 遠くだからはっきりとは見えないが、あれがラソなのか。本当に天空に浮かぶ街なんてあったんだな。


「で、どうやって行くの? 私は行ったこと無いところには瞬間移動できないけど」


「あれですよ」


 カリバが指差す方向には、天井が無い四角い建物がある。


「あれは?」


「行けば分かりますよ」


 なんかトタースを出る前からずっとそんなこと言ってるけど、一体何があるっていうんだ?


 早速俺達は建物に入った。


「観光の方ですか?」


 すると、早速一人の天使が俺達に話しかけてきた。


「そうです」


 迷うことなくカリバは返答する。本当は観光じゃないのに、堂々と答えているのでとても嘘をついているようには見えない。


「では、お乗りする場所へと案内するのでついてきてください」


 お乗りする場所? 

 俺の記憶では、こっちの世界には車とか飛行機とかそういうのは存在しない。それどころか、馬に乗るという概念ですらない。だからこそいつも歩いて移動しているわけだし。こっちの世界の乗り物なんて駕籠くらいだ。だが駕籠に乗るとは思えないし……。だからこそお乗りするという言葉には違和感がある。


 天使の後についていくと、一枚の円盤の前に来た。なんだこれ。


「これに乗ってください」


「これに?」


 まあ見たところ十人くらいは乗れそうだから俺達全員余裕で乗れるけどさ。


 言われるがままに俺達は円盤の上に乗った。


「では、いってらっしゃいませ」


 そう言って、天使は行ってしまった。えーと、どうすんのこれ。


「!?」


 突然の出来事だった。俺達の乗っていた円盤が、真上に凄い速度で上がり始めた。


「驚きましたか? これに乗れば、ラソまでひとっ跳びなんです」


 なんか、異世界の技術力は俺のいた世界より格段に低いと勝手に思ってたんだが、そんなことは無いみたいだ。あっちの世界にはこんな乗り物ないもの。


「うぇ……」


「どうしましたか? シュカさん」


「ちょっと、気持ち悪くなってきた」


 乗り物酔いか。なんとかしてやりたいけど、俺には何もできない。すまん、我慢してくれ。


 にしても早いな。どんどんスピードが上がっていく。まるでジェットコースターだ。


『到着』


「もうか」


 気がついたらあっという間に、ラソに着いていた。


「シュカさん、大丈夫ですか?」


「大丈夫じゃないかも……」


 顔を真っ青にして、シュカは今にも吐きそうだ。


「どうする? とりあえず宿屋にでも泊まるか?」


 多分このままでは満足に行動できないと思うけど。


「あの、カプチーノ様、私の力をお忘れですか?」


「あ、そういえば」


 最近全然使ってなかったからすっかり忘れていた。


「気持ち悪いとかそういうのもすぐに治せますので。それでは、えい!」


 カリバの全身を光が包んだかと思うと、そのまま光はシュカの方に移動した。そして。


「おお! 全然気持ち悪くなくなった! カリバすご!!」


 完全回復。さすがカリバだ。


「にしても、改めてみるとこの街凄いね。どこもかしこも天使だらけ」


「ああ」


 確かにシュカの言うとおり、天使がいっぱいだ。この街に限らずどの街にも天使という存在はいるのだが、普通の街はそんなに数は多くない。なので、こんなに多いのは凄く新鮮だ。


「早速大天使様のところに行きましょう」


「居場所は分かっているのか?」


「もちのろんです!」

 

 そう言って、カリバは大きくガッツポーズをした。回復といい道案内といいカリバはとても頼りになる。

 自信満々のカリバの後をついていく。


 すると、なぜか更にまた別の、例の円盤があるところに来た。


「またこれに乗るのか?」


「そうです。大天使様は更に上にいるのです」


「ほう」


 まだここより高い場所があるのか。


「で、なんですけど、大天使様に会うには受付の人に頼む必要がありまして」


「またさっきみたいに観光かどうか聞かれるのか?」


「いいえ、大天使様には観光客は会えません。選ばれた天使のみが会えるのです。なので」


「分かったよ、ウインクだろ?」


「お願いします」


 カリバに頼まれた通り受付の女にウインクをして、俺達は円盤に乗った。受付の人が女だったからよかったけれど、もし男だったらカリバはどうするつもりだったのだろう。まあ結果オーライ。


 一度目の円盤と比べて、こちらは上に上がるのが遅い。ゆっくりゆっくりと上がっていく。このスピードならシュカは酔わないようで、先程のように顔を青くしていない。


 やがて結構な時間円盤に乗っていると、何やら神秘的な場所で止まった。目の前には壁があり、これ以上進むことはできない。


「あら」


 頭上から、女の人の声が聞こえた。声のした方を見てみると。


「おお」

 

 大きな顔があった。ということは、俺達の前にある壁は、壁じゃなくてこいつの体か?


「あんたが大天使様か?」


「そうです」


 やっぱりそうか。"大"天使様と言わているんだし、大きいこいつがそうなのだろうとはすぐに思った。


「早速だが、あんたに予言を頼みに来た」


「すみません。予言は私が決めた特別な天使以外には行っておりません」


「なに!?」


 俺は当然天使じゃないからそれでは予言がしてもらえない。


「予言、つまり未来を見るというのは、本来はしてはいけないことなのです」


「なんでだ?」

 

 別に出来ることなんだからやったっていいじゃないか。


「未来は普通は決まっています。ただし未来を見てしまうことで、決まっていたはずの未来を変えてしまうことが出来てしまう。未来さえ見てしまえば、ただその見た行動をしないだけで、未来なんて簡単に変えることができてしまいますからね。既に決まっていることを、そんな容易く変えてはいけないのです」


「ふむ」


 困ったな。予言をしてもらわなければ、萌衣を生き返らせることが出来ない。


 仕方ない。ここはウインクで落として無理やり――


「効きませんよ」


「何!?」


「あなた、私にウインクしようとしましたよね? 残念ながら、それは私に効きません」


「どういうことだよ!」


 なぜ俺がウインクをすると分かった? そして何故、こいつには効かないんだ?

次回、あのキャラとの戦闘です

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