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旅の途中にて

 一晩経った後、俺達はイオキィに別れを告げ、リエカへと向かっていた。

 幸い図書館で借りた[リエカについて]の本のおかげで、リエカの場所も分かり、道に迷うことは無さそうだ。


「この本によると、リエカはそれほど遠くありませんね。明日にでも着けるかと」


「そうか、なら良かった。正直、古来より龍が眠りし山(アリュウス)に行った時みたいに何日も歩くってのはもう嫌だしな」


「あ! お兄ちゃん! モンスター!!」


 萌衣が指差す方向に、確かにモンスターが一体いる。見た目はコウモリっぽい。


「まあ、モンスターくらいいたっておかしくないだろ。お前がいた村からイオキィに行く時に一体も遭遇しなかったことの方がむしろおかしいくらいだ」


「な、なんでそんなに冷静でいられるのさ! モンスターだよ? 怖いんだよ?」


「いや、だってなぁ……」


 たとえモンスターから攻撃を受けても、間違いなくダメージは0だ。文字通り痛くも痒くも無い。


「早く逃げないと! ねえ!」


 逃げるなんて面倒なことしたくないっての。

 

 でも、そういや萌衣のやつ、レベル1なんだっけか。

 見たところ装備もくっそ弱そうだし、ひょっとしたら、マジであの雑魚そうなモンスターのダメージを食らっただけでも死んじまうかもしれないな。



 ……それってすっげえ足手まといじゃん。


 まだミステの能力を知らなかった時のことを思い出す。

 ミステを守りながらの戦闘は、それはもう色々と大変だった。

 あの時は、常にミステの周りを俺とカリバで囲みながら戦っていた。もしモンスターの攻撃を一度でも許してしまえば、一撃で死ぬかもしれないのだから当然だ。

 

 また、ああいう戦闘スタイルで行かなきゃならないのか……。


 あー、もっと早く気づいていれば良かった。

 もっと早く気づいていれば、イオキィでまともな装備そろえてやるくらいのことは出来たのに。


『大丈夫 心配無用』


 そうミステが魔法文字を出した直後、先程までパタパタと飛んでいたコウモリみたいなモンスターは、跡形も無く消滅した。


「ありがとうミステちゃん!!」


 萌衣は、モンスターが消えた事を確認すると、ミステへと抱き着く。


「おぉ……」


 相変わらずすげえ能力だな、ミステの能力は。


 ミステは思うだけで相手を消すことができるから、俺とカリバみたいに一々相手に剣で斬りかかるより遥かに早い。


 というか、俺とカリバは、ミステに任せていればわざわざ剣を抜く必要すら無い。


 ひょっとして、ミステがいるおかげで、すっげえ楽な旅になるんじゃないか?

 萌衣だって危険な目には合わないんじゃないか?


「すっげえミステに感謝するわ、俺」


 本当に俺達の仲間になってくれてありがとう。



 ただ、近づいてきたモンスターを、片っ端から無にするということは。


「萌衣はずっとレベル1だな」


 ミステの能力は、ただモンスターを消しているだけで、モンスターを倒しているわけではないから経験値なんて入らない。


「え? なんか言った?」


 そんなことには全く気づいていない萌衣。


「なんでもねえよ」


 ま、それはそれでいっか。

 レベル1じゃない萌衣ってのは、それそれでなんか変な感じだしな。

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